研究課題/領域番号 |
22K12526
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
小澤 智子 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (20459978)
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研究分担者 |
板津 木綿子 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (80512334)
北脇 実千代 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (20369458)
小島 美枝子 津田塾大学, 言語文化研究所, 研究員 (00623878)
長谷川 寿美 津田塾大学, 言語文化研究所, 研究員 (90931147)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 移動 / モビリティ / 船 / ジェンダー / 環太平洋 / 横浜 / ハワイ、北アメリカ / ナショナリズム / 船上 / 旅 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、歴史研究の視点と手法で、19世紀後半から20世紀前半の横浜港を発着点に渡航した移民、留学生、文化人・専門職者、出張者、旅行者等の「国際移動する船上の経験」に注目する。本研究では、多種の一次資料(画像資料を含む)を用いて、未解決課題であった国境を超える船上での経験の記録化を大きく前進させる。具体的には、移動中の客船上の衣・食・住・教育・娯楽・交流・帰属意識・世界観の再編成を確認し、移動者の行為者性および個人・集団・国家の力関係を検証する。本研究の意義は、①移動する経験を記録すること、②移動という管理された時空に潜む政治性をあぶり出すところにある。
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研究実績の概要 |
2023年度は、一次資料および二次資料の収集とその検証を継続しながら、本プロジェクトの代表者・分担者全員・研究協力者が参加する非公開の研究会や読書会をたびたび開催した。研究会では、各自の調査の進捗状況を中心に報告し、全体的な議論を重ねた。おもな報告内容は、次のとおりである。「船上の『スチワーデス』ーー『呼寄婦人の監督』」(小澤智子)、「エゴ・ドキュメントにみる船内空間ーー20世紀前半の太平洋航路を中心に」(北脇実千代)、「環太平洋による移動を相対化するーー米国旅行者と通信に関する一考」(板津木綿子)、「アメリカ合衆国から占領下日本への物資輸送(船のリスト)について」(長谷川寿美)、「Anna Cope Hartshorneの生涯と船ーー特に重要な4回の航海を中心に」(小島美枝子)。協力者(三浦裕子氏)は、船旅の経験を論じている出版物(大衆小説など)に注目している。各報告に共通する観点とは、船内空間においてジェンダー、クラス、人種・エスニシティ、宗教にかかわる交渉や再定義があること、船旅に関する論述(日英両言語)が多様であり、さまざまな立場からの記録があること、貨客船の乗船者(乗船客とクルー)のあいだに多面的な折衝があることなど。 同時に関係者全員がさまざまな資料や情報を共有しつつ、お互いにフィードバックを行った。船関連の資料館や博物館における現地調査の結果などを研究会で報告しあった。たとえば、2023年5月には、横浜の氷川丸、工作船、日本丸に関する現地調査について、北脇実千代と板津木綿子から詳細な報告があった。また、長谷川寿美、北脇実千代、小澤智子は横浜みなと博物館を見学し、横浜に発着した船をめぐる調査を進めた。 2023年5月や8月の読書会では、モビリティ・スタディーズや帝国主義とジェンダーにかかわる研究書や論文に注目し、プロジェクト・メンバー全員で議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度は、前年度からの作業を継続しつつ、最終報告に向けての原稿を一部執筆しはじめているため、当初の予定よりも順調に進展しているといえる。代表者・分担者・協力者(三浦裕子氏)はそれぞれが担当しているテーマについて論文などのかたちで成果の一部を発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、計画書のとおりに実施したいと考えている。代表者、分担者、協力者は、資料収集、先行研究の分析、課題の整理、情報や資料の共有などを続けながら、本プロジェクトの本質的な議論を深めたい。論点などを共有する目的で、各自の中間報告のみならず、全体で取り組む読書会なども予定している。
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