研究課題/領域番号 |
22K12529
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
佐々木 豊 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (00278748)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 社会科学研究評議会(SSRC) / 日本研究 / 日本研究合同委員会 / 地域研究をめぐるエピステモロジー / ローカルな知 / 冷戦的学知の構築 / 社会科学研究評議会 / 地域研究促進体制 / フォード財団 / 冷戦的学知 / 米国社会科学研究評議会(SSRC) / 全米学術団体評議会(ACLS) / 地域研究(日本研究) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1960年代後半から1990年代前半の時期に亘る米国における日本研究の動向に関して、社会科学研究評議会(SSRC)と米国学術団体評議会(ACLS)が合同で設立した「日本研究合同委員会(The Joint Committee on Japanese Studies)」(活動期間:1967-1996)の活動の実証的分析を通じて検討する。米国の社会科学/人文科学の各ディシプリンを統括的に束ねた権威ある両学術団体によって推進された日本に関する学知の構築過程を追跡することを通じて、日本を対象とする地域研究の問題設定・分析枠組み・方法論が如何なる変遷を辿ったのかに関して分析/考察を加える。
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研究実績の概要 |
本研究の課題は、1960年代後半から1990年代前半の時期に亘る米国における日本研究の動向に関して、米国社会科学研究評議会(The Social Science Research Council、SSRC)と米国学術団体評議会(The American Council of Learned Societies、ACLS)が合同で設立した「日本研究合同委員会(The Joint Committee on Japanese Studies)」(活動期間:1967-1996)の活動を一次史資料の分析を通じて明らかにすることにある。 令和5年度の研究実績として、前年度に引き続き「日本研究合同委員会」の活動に関する一次史資料(同委員会会合の議事録、メモランダム、報告書、研究会議に提出されたペーパー、関係者間の通信文等)が所蔵されているロックフェラー・アーカイブ・センター(Rockefeller Archive Center、RAC)を訪れ、上記の一次史資料の閲覧・収集に1週間ほど従事することが出来た。その結果、同委員会が設立された1968年から1980年代後半に亘る時期の活動に関わる一次史資料(特に前年度の同アーカイブ訪問中に収集できなかった資料)をほぼ網羅的に入手することができた。 また、過去2年間に及ぶ一次史資料収集を通じて、「日本研究合同委員会」を含む学際的な地域研究を旨とする委員会が設立された背景的諸要因及びその後の地域研究推進のための方法論をめぐるSSRC関係者による様々な意見交換・議論の内容に関して把握することができた。それ故、「日本研究合同委員会」の具体的活動に対して実証的な分析を行う前の準備作業として、戦後期から1980年代に及ぶSSRC内の地域研究推進方法論をめぐる論争に関する論考の執筆に従事し、「研究ノート」として本務校の紀要に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績に概要」に記した通り、本科研費による助成を受けて実施したロックフェラー・アーカイブ・センター(RAC)における「日本研究合同委員会」の活動に関係する様々な一次史資料の収集がほぼ順調に進んだため、研究課題を達成する上での史資料収集面での準備作業がほぼ終了した。デジタルカメラによる写真撮影を通じた膨大な量の資料を集めたため、その整理・分類を行う作業に時間を要する一方、本研究課題の分析視角・概念を整理して精緻化するための中間報告的な内容を持つ論考を発表することができた。そこで整理された議論を意識しながら、「日本研究合同委員会」がその活動期間中に実施した日本の社会・政治・経済・歴史に関する社会科学/人文科学の各ディシプリンに基づく学知の構築に向けた具体的研究テーマの内容、それに基づく研究会議およびその成果(公刊物)、そしてそこで描かれた日本社会像/日本近現代史像に関して実証的分析に着手する準備が現段階でほぼ整ったといえる。以上のような研究進捗状況に鑑みて、本研究課題は「おおむね順調に進展している」と判断することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、現時点までに収集した「日本研究合同委員会」関係の一次史資料に関する本格的な分析に着手し、同委員会の活動内容及びその成果に関して見積もる作業に主に従事する。その際、当初の研究計画に従って、次の三つの視点から分析と考察を加える。つまり、①社会科学と人文学の学際的融合という課題の達成の程度(また、その裏返しとしての特定の学問上のディシプリンと学際性を持った地域研究の実践の間の緊張関係の度合い)②研究成果を通じて描かれた日本像・日本社会像の性格、特に少なくとも1960年代前半まで支配的であった「近代化論」に基づく近現代日本の歴史像・社会像と比較する視点③「日本」という特定の国家に関する学知という地域に限定された「ローカルな知」を、同種の現象・テーマを比較の視点から国際化の趨勢の中で位置づけようとする作業の成否、という3つの視点を意識した分析と考察を行うことを目指す。 このように「日本研究合同委員会」の活動・成果を明らかにしながら、この事例をケース・スタディとして、地域研究のディシプリンとしての性格やそれをめぐる論争の内容を浮き彫りにすることも目標に置く。またこのような作業を通じて、第二次世界大戦後の米国における日本研究を含む地域研究の発展・展開を専ら「冷戦的学知」と規定する通説を超えて、より長期的な時間枠と統合的解釈枠組みの下に、学際的研究を象徴する地域研究の意義や価値を把握することの重要性に関して論じることを目指す。そしてその成果に関しては、将来的に著作として著すことを目標に置きたい。 なお、「日本研究合同委員会」の日米両国を股にかけた学術研究活動を資金面で支えたフォード財団に関する一次資料は現時点でほぼ未収集であるため、この点に関しては今後の課題としたい。
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