研究課題/領域番号 |
22K12532
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
津田 睦美 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (70351236)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ニューカレドニア / 出稼ぎ日本人移民 / 太平洋戦争 / オーストラリア戦時抑留 / 手紙 / 引き揚げ / 敵性外国人 / ニューカレドニア日本人移民 / 移民母村 / 仏領ニューカレドニア / 日本人出稼ぎ移民 / 太平洋戦争体験 / 記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、明治25年以降、仏領ニューカレドニアのニッケル鉱山に出稼ぎに行き、その後定住した日本人やその家族の書いた「手紙」が調査対象となる。日本人は、太平洋戦争勃発によって敵性外国人となり、ニューカレドニアから追放され、オーストラリアの強制収容所で抑留後、日本に強制送還された。彼らが家族や同郷の移民、あるいは、総督府、移民管理局、管財人などに送った「手紙」を発掘し、収集・整理をして分析する。それにより、公的な記録には残らなかった太平洋地域を移動した日本人移民の経験を解明し、埋もれた歴史の記憶を掘り起こすものである。
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研究実績の概要 |
2年目は、初年度に続き、研究対象となる「手紙」の収集およびその分析のための史料調査および現地視察を国内外で行なった。今年度は9月半ばから12月半ばまで、勤務先から約3ヶ月のサバティカル休暇を得てニューカレドニアに滞在できたことで、研究に集中することができた。また、日本人移民と関係の深かったコロン(フランス人の農業植民者)やインドネシア出稼ぎ移民の実態を調査する研究者と出会い意見交換できたことで、今後ニューカレドニア社会におけるヒエラルキーや他民族との相互関係(特に婚姻)などを共同研究としてたちあげていく予定である。 特に、本研究の中核となる、1942年から1950年にかけてひとりの人物に宛てて書かれた手紙149通をあらたに入手できたことは大きな収穫であった。これらの手紙は、オーストラリア(抑留中の収容所)と熊本(日本への強制送還後に戻った郷里)から、日本人Mが、ニューカレドニアに残した娘にフランス語で綴った手紙(一部はMの友人が書いたもの)であり、具体的な戦時抑留体験、引き揚げ後の日本での違和感などが手紙の行間から滲み出ている。手紙の所有者であるMの曾孫から承諾を得た上で、政府公文書館の協力を得てデジタル化し、将来公開するための準備も行なった。 日本国内では、ニューカレドニアに出稼ぎに行った人が多い広島と岡山の境界にあたる地域に出向き、明治・大正・昭和初期のこの地域の主要産業(特にたたら製鉄)について学び、移民の子孫や菩提寺を訪問した。 さらに移民研究の盛んなハワイに初めて出張し、日本人墓地およびニューカレドニアにはない寺社を数多く廻り、双方の移民たちが置かれた状況の相違点と共通点を確認しながら、ニューカレドニア日本人移民特有の特徴を宗教面から考察した。 次年度は、仏語の手紙をどのように翻訳していくかを検証しながら、すべての手紙の分析をした上で、研究成果の最終的な発表の仕方を見極めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象となる「手紙」が揃い、その背景を分析するための史料調査や聞き取りはほぼ終わったといえる。これらの成果をテキスト化するための準備がほぼできているので、Webサイトや、研究会などで途中経過を発表して完成させていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
収集した手紙の分析を順に行い、研究内容を公開して多方面から意見をもらいたい。そのために必要な追加史料の収集、現地調査、聞き取りを行なっていく。手紙の翻訳作業を進める。 ニューカレドニアの政府公文書館以外に、チバウ文化センター、ヌメア市立博物館、ヌメア市立第二次世界大戦博物館などとの相互協力を強化し、展覧会として成果発表できるように推進する。
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