研究課題/領域番号 |
22K12556
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
中村 亮 福岡大学, 人文学部, 教授 (40508868)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 漁民文化 / 互助組織 / 資源デカップリング / 地域振興 / 環境保全 / タンザニア |
研究開始時の研究の概要 |
アフリカ漁民社会の持続的発展(地域振興と環境保全の両立)のために、互助組織に着目して、経済活動と資源利用の「資源デカップリング」の実証研究をおこなう。研究期間は4年間である。 アフリカ漁民社会では、近年の魚需要増加による経済発展の一方で、水産資源の持続的利用が重要課題である。しかし過剰な環境保護は、漁民の活動制限につながる。反対に、地域振興のために漁獲量を増やすと水域環境が悪化するジレンマがある。 これについて、互助組織を活用して水産物からの利益を賢く運用することで、資源デカップリングが可能であると仮定し、キルワ島でのフィールドワークによって実証的に検証してゆく。
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研究実績の概要 |
2022年度は8月と3月にそれぞれ3週間程度の文化人類学的フィールドワークをタンザニア南部キルワ島で実施した。調査内容はおもに、「資源デカップリング」分析の際に重要となる「女性揚げ魚商人」についてである。女性商人の人数変化や聞き取り調査、参与観察によりその実態を明らかにした。また、女性商人が多数参加する島の経済互助組織(マイクロファイナンス型と頼母子講型)についての参与観察と聞き取り調査もおこなった。 現地調査の成果をもとに、地域漁業学会第64回大会にて「タンザニア南部キルワ島の女性商人の変遷:2005~2022年にかけて」について、日本アフリカ学会第59回学術大会にて「タンザニア南部キルワ島の経済互助組織にみる地域振興と環境保全の可能性」について口頭発表した。 2020年まで右肩上がりで増加していた女性商人の人数であるが(2020年3月に68人)、2022年8月には25人に減少していた。これは女性商人のライバルである鮮魚商人がキルワ島に増え、高額で鮮魚を買い取る鮮魚商人に漁師が魚を売るようになったことが関係していた。女性商人の減少に伴い、島の経済互助組織の数も減少傾向であった。経済互助組織の運営とそれをもとにした生活改善・地域振興には、島の女性たちの参加が重要であることが明らかになった。 2023年3月には女性商人は9人増えて34人となっていた。本研究期間中は引き続き、女性商人の人数推移とその背景について調査を実施してゆく。また、キルワ島の女性中心とした経済活動についてはある程度データが蓄積されてきたので、今後は、資源利用について漁獲量の定量調査や資源管理(Beach Management Unit)の現状についてデータを収集する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスによる渡航制限も緩和され、年度内に二回の現地調査をタンザニアで実施することができた。調査地での人間関係も良好で、タンザニア国立博物館に研究協力者を得ることもできた。 研究はおおむね順調に進展しているが、2021年頃からの航空運賃(サーチャージ)の値上がりが研究費を圧迫していることが問題である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も引き続きタンザニア南部キルワ島において文化人類学的フィールドワークを実施する。調査内容は、漁師人数と漁獲量の推移、キルワ島のBeach Management Unitの現状、女性揚げ魚商人の推移、鮮魚商人の推移、経済互助組織の推移などである。 漁獲量の定量的データは計測・観察・聞き取り調査を交えて収集する予定である。Beach Management Unitについては代表者への聞き取り調査を実施する。女性商人と経済互助組織の動向調査についても聞き取りと参与観察を交えて実施する予定である。
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