研究課題/領域番号 |
22K12558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
坂田 正三 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 研究企画部, 海外研究員 (90450519)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ベトナム / 農業技術 / フード・バリューチェーン / デジタル / ソーシャル・コマース / フードバリューチェーン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近代的小売の普及が急速に進むベトナムにおける農産物流通の変化が農業生産技術の導入・普及に与える影響について研究を行うことを目的としている。 欧米諸国では、消費者からの農産物、食品に対する要求が高まり、デジタル技術導入という技術的対応が広がった。一方、農家世帯の資本に制約のあるベトナムでは、異なる技術的対応を行っていると考えられる。本研究ではその特徴と発展の可能性、そして経済的・社会的影響について考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は、2010年代初頭から近代的小売の普及が急速に進むベトナムを研究対象とし、途上国における農産物流通の変化が農業生産技術の導入・普及や農村社会に与える影響について、実証的、理論的に研究を行うことを目的としている。 本研究は、1)どのような農産物流通の変化と新技術の普及が起きているのか、2)新技術導入という変化はどのように論理的に理解できるのか、3)流通と技術の変化は農家家計や農村社会にどのような経済・社会的インパクトを与えているか、について明らかにすることを目的としている。 2年目の2023年度は、海外研究員としてハノイに駐在し、ハノイおよびハノイ近郊を中心にフィールド調査に力点を置いた研究活動を実施した。特に、デジタル技術の導入がもたらした、「オルタナティブな流通チャネル」、すなわちSNSなどのソーシャルメディアを通した青果物流通がハノイで急増している実態とその要因について明らかにするための情報収集を行なった。また、ベトナム南部では、新技術導入に関する小規模な質問票調査をカントー大学に委託し、実施した。 その上で、2022年度および2023年度の研究活動のファインディングをもとに、英文の論文を一本執筆し、査読付きジャーナルに投稿した。同論文では、SNSを通したオルタナティブな流通チャネルが台頭した背景には、デジタル技術がもたらす、客観的な情報の増加よりもむしろ、流通チャネルのアクター間の信頼の強化があるのではないかと論じた。 また、2月よりオランダに転任し、エラスムス大学社会科学研究所において研究活動を行っている。論文サーベイや、当該分野の研究者との意見交換、ワークショップへの参加、報告といった活動を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外派遣員としての現地研究を通して、多くの情報を収集することができた。一方で、計画の当初には想定していなかった状況の急激な変化、新たな流通チャネルの台頭や新たな技術導入という現象にも直面した。 また、2月のオランダ転任後は、途上国のフード・バリューチェーンに関する最新の研究に触れることができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究最終年となる2024年度は、引き続き現地の情報収集と理論研究を実施する予定である。内容的には、2つのトピックの研究を実施する予定である。まずベトナム南部における、小売業等の流通の変化による「安全」を全面に打ち出した食品需要の増加と、生産者による生産技術、生産管理技術の導入の実態に関する研究である。もう一つは、流通の担い手としての農業協同組合の活性化を奨励する政策が与えるインパクトに関する研究である。後者については、2023年度の調査から、奨励政策のひとつの具体的な方策として、生産管理、販売管理のためのデジタル技術奨励があることが明らかになった。今後は、デジタルを通した農業協同組合の活性化という政策の実施の農業生産や農業社会への影響についても調査を進める必要がある。 また、2024年度は、ヨーロッパの学会で、これまでの研究内容に関する発表を行う予定である。7月にはヨーロッパ科学技術研究学会の大会において、8月にはヨーロッパ社会学会の大会において報告を予定している。 さらに、本年度末までには英文の論文をもう一本執筆し、査読付きジャーナルに投稿する予定である。
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