研究課題/領域番号 |
22K12576
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
小野塚 和人 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (30706792)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | オーストラリア / 難民 / 農村 / 移民政策 / 外国人労働者 / 地域活性化 / カレン人 / 地方創生 / 地域社会学 / ミャンマー / 移民 / 多文化主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日本を含む「先進国」に共通する問題である、農村部の人口減少と高齢化の対策として、難民認定者を労働力として登用する方策と、現地社会での定住にむけた支援策の解明にある。本研究は、難民認定者の労働力登用と定住に成功した豪州カタニングのカレン人難民受け入れ事業の分析を行う。地域社会を担う人材として難民認定者を登用する方策は、地域活性化策としても、人道支援の方策としても革新的である。本研究の知見は、難民認定者は受け入れ社会に負担をかける、とする偏見を問い直す。本研究は、難民研究を受け入れ社会の視点から進展させ、農村部での外国人労働者の受け入れ方策の整備に関して、政策的な示唆を与える。
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研究実績の概要 |
本年度は、豪州(オーストラリア)カタニングと周辺自治体における現地調査の成果を整理するとともに、中間成果を単著にまとめる作業を行った。本研究の中間成果は、春風社より『外国人労働者としての難民―オーストラリアの農村部における難民認定者の受け入れ策と定住支援策―』と題して、2024年10月までに刊行がなされる。本書の刊行に際して、豪州連邦政府・豪日交流基金による出版助成金(競争的資金)を得ることができた。 本年度の研究実績として、第一に、豪州の難民・移民の地方部への受け入れ政策の分析を実施した。この成果は同書の第2章と第3章に反映されている。第2章では、難民認定者を地方部の労働力として登用する施策を考察した。第3章では、地方部において技能移民の就労を促進する政策的実践を分析し、技能労働力を確保する方策の一環として、難民の受け入れを位置付けた。 第二に、本助成による現地調査の成果は、第5章と第6章にて考察されている。第5章ではカタニングにおけるカレン人難民コミュニティが主導した移住事業を題材に、実施に至った背景と現地社会の側による定住支援の実践を分析した。第6章では同様の試みを行った周辺自治体であるダルウォリヌにおける難民認定者の誘致事業の実施に至る背景と、同事業の結末を考察した。この他、同書の第7章にあたるビクトリア州ニルにおけるカレン人難民の誘致事業の内容は、2023年6月に開催された「オーストラリア学会」研究大会にて報告をした。 なお、本研究の遂行にあたって、カタニングと周辺自治体の研究協力者に対して、フェイスタイム、メッセンジャー、スカイプを用いたオンラインでの聞き取りと、eメールやメッセンジャーを用いた書面での事実確認等の調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの現地調査によって、順調に研究成果が得られている。現地での研究協力者のサポートにより、オンラインでの聞き取りを実施できていることは、本研究の進捗に大きく貢献している。 ただし、以下の2点の課題が残っている。第一は、現地自治体で生じている社会変容の背景にある、連邦政府や州政府による移民政策や地域開発に関する政策の分析が完了していない。第二に、現地の難民認定者のコミュニティの調査を継続する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
難民認定者と難民申請者を受け入れる政策の形成と実施の過程と、地方部での技能移民の受け入れ政策の考察が完了していない。この点に関して、連邦政府の刊行資料を中心とした研究を継続する。また、カタニングにおける難民コミュニティの調査に関して、対面での現地調査を予定している。これらの成果を『移民政策研究』、『オーストラリア研究』、『東洋大学社会学部紀要』といった媒体への投稿を計画している。
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