研究課題/領域番号 |
22K12578
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
本田 裕子 大正大学, 社会共生学部, 教授 (00583816)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | コウノトリ / 野生復帰 / 野外繁殖 / 自治体連携 / アンケート調査 / 環境課題 / 兵庫県豊岡市 / ふるさと教育 / 環境部局 / 教育部局 / 政策連携 / トキ / 自治体間ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
野生復帰に関係する自治体内で環境政策および教育政策がどのように展開そして連携されているのかを把握する作業を通じて、今後の自治体間のネットワーク構築に向けて、どのような主体がどのような内容で連携を図るべきかについて検討する。具体的には、野生復帰に関連する環境政策および教育政策の実態を把握し、部局間の連携も含めて状況整理を行う。併せて、自治体に居住する住民意識の把握も行い政策の効果を検討する。これらの作業を経て、野生復帰に関する自治体間ネットワークの構築に向けて、ネットワークがどのようなものであるべきかといったガイドラインとなり得る考え方を提示する。
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研究実績の概要 |
コウノトリの野生復帰の事例において、野外繁殖に成功した(実績のある)自治体についての(1)情報整理、(2)訪問・インタビュー調査および(3)アンケート調査を実施した。野外繁殖に成功した(実績のある)自治体は、2023年の繁殖シーズンまでの25自治体を対象とした。 (1)では、インターネット上で対象自治体のHPから、コウノトリおよび野外繁殖していることを発信しているかについて整理した。約半数が自治体サイト内でコウノトリに関するページを設けて発信していることがわかった。自治体が発信する情報では、コウノトリの繁殖を知らせるとともに、その観察のルールやケガ・死亡時の問い合わせ先といった内容が主であり、野生復帰の拠点施設である兵庫県立コウノトリの郷公園が発信している情報を参考にしていることが窺える。 (2)では、鳥取県内の自治体(現地訪問は八頭町、北栄町、繁殖実績はないがIPPM-OWSに加盟している南部町も含めた)、広島県世羅町、佐賀県白石町を訪問し、担当職員へのインタビュー調査を行うことができた。自治体として野外繁殖にどのような対応をしているのか、また課題についても把握することができた。例えば、カメラマンや見学客の中にはマナーを守らない人たちがいることへの懸念が住民にはあり、コウノトリが人家近くの電柱等で繁殖しているという状況もあるので、地域社会の中で野外繁殖がどのように受容されているのか、現状と課題を整理することができた。 (3)では、25自治体すべてから回答を得ることができた。繁殖に関する自治体の対応として課題はあるかという質問に25自治体中24自治体が「ある」と回答した。自治体が費用面や人材面で課題としていることを少しでも改善していくことが、コウノトリの国内での安定的な生息・繁殖に必要といえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野外繁殖に成功した、実績のある自治体へのアンケート調査を実施、対象とした25自治体すべてから回答を得ることができた。今後はこのアンケート調査の結果をもとに、現地調査を進めていき、野生復帰をめぐる社会的ネットワークの構築についての考察を深めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
25自治体を対象にしたアンケート調査で得られた知見はさまざまであり、実際に繁殖に関して行っている対応、課題、また、地域づくりや環境、教育面でコウノトリを地域資源として活用している状況、そして自治体連携についての考えについて、現状を把握できた。得られた知見をもとに、今後は現地調査で訪問していない自治体、特に、2024年の繁殖シーズンで新たに繁殖に成功した自治体へのインタビュー調査に取り組んでいきたい。 そして、自治体連携を含めた社会的ネットワークの構築は今後コウノトリの国内での安定的な生息に向けて必須といえるので、先進的な取り組み事例への訪問やインタビュー調査にも取り組んでいき、最終的な考察を行っていきたい。
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