研究課題/領域番号 |
22K12585
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
|
研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
初澤 敏生 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10211476)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 観光業 / ポスト・コロナ社会 / 構造変化 / ポスト・コロナ |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウィルス感染症(以下、「コロナ」と略す)の流行により、我が国の観光業は大きな影響を受けている。本研究はポスト・コロナ社会における観光業と観光地域の構造変化について検討を加える。 本研究では、「コロナ禍が観光産業の構造をどのように変化させたのか」と「コロナ禍は観光地域の地域構造をどのように変化させたのか」の2つの問いを設定する。この解明に当たり、申請者が想定する日本の観光業の地帯構造のモデルを当てはめて調査対象地点を設定、事例地域の実態調査と合わせて申請者のモデルを検証し、理論化を図る。
|
研究実績の概要 |
本研究は、ポスト・コロナ社会における観光業と観光地の構造変化について検討を加えることを目的としている。 令和5年度の研究成果としては、静岡県伊豆地域の温泉地にCovid-19が与えた影響に関するものがある。ここで対象とするのは静岡県熱海市(22旅館)、伊東市(23旅館)、下田市(9旅館)、伊豆市(31旅館)の85温泉旅館である。まず、85旅館の売上高の変化をみると、その合計額は2019年の341億 8300万円から2021年の241億700万円へと約100億円の減少を示している。85旅館中72旅館が売り上げを減少させる一方で、6旅館は売り上げを増加させている。これを減少(増加)率と 2019 年の売上高との関係からみると、売り上げの減少率と売上高との間には明確な相関は認められないが、売り上げの大きな旅館の減少率が相対的にやや高くなっている。一方、従業員数は同期間に1790人から1721人へと69人、比率にして約4%の減少にとどまる。売上高が約3割減少していることに比べれば、わずかな減少にとどまっている。これを旅館単位でみると、従業員を減少させた旅館は12、増加させた旅館が7となる。ほとんどの旅館は従業員数を変動させていない。コロナ禍の中でも多くの旅館は従業員の雇用を守ることを優先させている。 また、平成30年北海道胆振東部地震が北海道宿泊業の売上に与えた影響についても分析した。この分析からは、全道レベルでみると、震災の影響はほぼ1か月程度で落ち着き、その後は前年レベルに復帰していることが認められた。ただし、入込客の分析からは、海外客が増加を示しているのに対し、国内客の回復が遅れていることが明らかになった。地震に対する情報量がその要因であると考えられる。今回は地震の風評被害に関する分析であるが、コロナ対策においても、情報発信の重要性が指摘できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は新型コロナウイルスの影響が懸念されたが、本年度の調査においては、ほぼその影響を回避することができた。資料収集はほぼ順調に進んでいる。現在のところ、山形県蔵王温泉に関するデータ収集を進めているところであり、完了し次第学会発表や論文化に着手する予定である。 ただし、円高の影響により、海外調査については実施が難しくなっている。現地調査によらない資料収集を追究するなど、当初の計画の達成に向けて努めたい。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究に関しては、まず、データ収集の途中である山形県の蔵王温泉に関してデータ収集を完了させたのちに学会発表、論文化を進める予定である。 今後の新しい調査は、国内の大都市地域と沖縄を優先し、海外については円高の状況を見ながら後回しにする。ただし、公的データベースなどを用いて収集できる資料などもあるため、当面はそれらの収集・分析に力を入れる。
|