研究課題/領域番号 |
22K12591
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
薬師寺 浩之 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (70647396)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ネットノグラフィー / ユーザー生成コンテンツ / 観光者行動 / 観光経験 / 観光研究 |
研究開始時の研究の概要 |
ソーシャルメディア空間には、観光者の旅行体験に関するパフォーマティブな語りや表現が、ユーザー生成コンテンツとしてあふれている。しかし、観光研究においてソーシャルメディアから読み解くことができる観光者の旅行行動や経験を考察した研究は国内外問わず少なく、調査手法も確立されているとは言い難い。そこで、オンライン上のユーザーの語りから現実世界を考察することを目的とした研究手法であるネットノグラフィーを観光研究に応用し、ユーザー生成コンテンツに表現される観光者の旅行行動や経験を多角的に考察する。最終的には、観光研究におけるネットノグラフィー調査の手法の発展や普及を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、ロバート・V・コジネッツ(Robert V. Kozinets)が生み出したネットノグラフィー調査を用いて、ユーザー生成コンテンツに表現される観光者の旅行行動や経験を多角的に考察し、最終的には観光研究におけるネットノグラフィー調査の手法の発展や普及を目指すものである。この調査手法は、インターネット上の文化や行動を質的に調査するものであり、マーケティング研究領域では活発に用いられている。 研究二年目の2023年度は初年度の2022年度に引き続き、比較的新しい研究手法であることから現在でも発展途上にあるネットノグラフィー調査の手法に関する最新の動向を、英語文献から理解した。さらに、同調査を用いた観光研究の先行文献やマーケティン研究領域等観光研究以外の先行研究を講読し、理解を深めた。 さらに、観光者のツーリストエンクレーブでの旅行行動や経験、エンクレーブという空間の認識や解釈を考察することを目的としたネットノグラフィー調査を開始した。具体的には、ツーリストエンクレーブやエンクレーブ内での旅行行動や経験に関する文献講読、他の科研研究と同一旅程で東南アジア地域のツーリストエンクレーブの視察・観察、さらに旅行コミュニティサイト内でのユーザー生成コンテンツの取得と分析、などを2023年度に実施した。2024年11月にこのトピックに関する学会発表が決定しているため、それまでにこの研究結果をまとめることを目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究二年目の2023年度は、研究計画では以下の二つを実施する予定であった。 1.旅行コミュニティサイトにおける旅行愛好家の語りに反映される、新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う「国外旅行ができない」という経験に関して、ネットノグラフィー調査を用いて行う。(本研究における3つのネットノグラフィー調査を用いた事例研究のうち、1つ目の研究) 2.旅行コミュニティサイトにおける観光者の語りに反映される、非倫理的な旅行行動や経験の本質に関する考察を、ネットノグラフィー調査を用いて行う。(本研究における3つのネットノグラフィー調査を用いた事例研究のうち、2つ目の研究) 上記1の「国外旅行ができない」という状況は、研究計画書を執筆した2021年当時の状況であり、2022年度中盤以降の世界的な入国緩和措置に伴い研究テーマが現状にそぐわなくなったことから、ポストコロナの国外観光経験に関することにテーマを変えて実施する予定であった。しかし、2022年度に着手することはできなかった。 上記2は、非倫理的な旅行行動も含めた、ツーリストエンクレーブでの観光者の旅行行動や経験の本質に関するネットノグラフィー調査にテーマを拡大し、実施している。具体的には、ツーリストエンクレーブやエンクレーブ内での旅行行動や経験に関する文献講読、他の科研研究と同一旅程で東南アジア地域のツーリストエンクレーブの視察・観察、さらに旅行コミュニティサイト内でのユーザー生成コンテンツの取得と分析、などである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、「観光者のツーリストエンクレーブでの旅行行動や経験、エンクレーブという空間の認識や解釈に関するネットノグラフィー調査」を引き続き実施する。旅行コミュニティサイト内のユーザー生成コンテンツからの理解のみならず、オンラインを介した観光者とのコミュニケーション等も実施し、ネットノグラフィー調査の研究手法に即した調査を行い、ツーリストエンクレーブにおける観光者の旅行行動や経験の本質のみならず、観光研究におけるネットノグラフィー調査の発展にも寄与できるよう研究を行う。 この研究は、2024年11月に開催される人文地理学会観光空間研究部会、および同月に開催される立命館地理学会大会で報告することが決まっているため、2024年秋までおおよその研究が完了できるように実施する。 2023年度に実施できなかった「ポストコロナの国外観光経験に関するネットノグラフィー調査を用いた研究」は上記の研究と同時並行で進める予定である。 一方で、当初の研究計画では2024年度に実施予定としていた「Instagramに投稿される観光写真に映し出される、観光者の旅行体験価値に関する考察」は2024年度中に実施することが困難であるため、研究期間を延長して2025年度に実施することを考えている。
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