研究課題/領域番号 |
22K12605
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
|
研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
辻本 法子 桃山学院大学, 経営学部, 教授 (80633958)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | インバウンド観光 / ポスト・コロナ / 観光土産 / インフルエンサー / 観光意向 / 中国人旅行者 / ブランド認知 / コンテンツ / ブランド態度 |
研究開始時の研究の概要 |
観光土産は旅行時点における一過性の消費とみなされがちであるが、インバウンド観光において観光土産として購買された商品が帰国後にリピート購買されれば、観光土産の消費拡大がはかられ、観光産業の経済的安定やパンデミックなどのリスクへの対応が期待できる。 本研究は、食品の観光土産の購買経験がある訪日中国人旅行者 (買い手) と受け取った経験がある中国国内の消費者 (受け手) を対象に、ポスト・コロナの具体的な観光ニーズ (観光意向)がブランド態度に与える影響と、観光意向のタイプごとに好まれる観光土産ブランドの特徴を明らかにし、リピート購買の促進に最適なマーケティング・アプローチの方法を提案するものである。
|
研究実績の概要 |
本研究は、ポスト・コロナの訪日中国人旅行者の観光土産の購買をその後のリピート購買に結び付けるために、観光土産の買い手や受け手の観光意向と観光土産に対するブランド態度の形成の関係について、観光土産の買い手と受け手を対象に調査を実施し、観光意向の影響を考慮したブランド態度モデルを用いて分析し、観光意向のタイプごとに好まれるブランドの特徴を明らかにし、リピート購買の促進に最適なマーケティング・アプローチの方法を提案することを目的としている。2023年度に行った研究は以下のとおりである。 1) 観光土産、ブランド態度、観光意向の尺度の項目についての知識をさらに深めるために国内外の論文などの文献調査により先行研究のフォローを行った。 2)中国人の訪日経験者を対象に専門のインターネット調査会社に依頼し、アンケート調査を行った。 3) 2022年度に開発した「自然・癒し観光」「歴史・文化学習観光」「ポップカルチャー観光」「ご当地グルメ観光」「有名ブランド観光」の5つの因子からなる観光意向の2次因子モデルを用い、調査により得られたデータを分析し有効なマーケティング・コミュニケーションのコンタクトポイントの発見を試みた。具体的には、訪日経験のある中国人消費者を対象に日本への観光意向と日本の観光情報を発信するフォロワー数の多いインフルエンサーに対する態度の関係について多母集団の平均構造分析により比較を行った。結果として、1)インフルエンサーに対する信頼度と観光土産の購買商品カテゴリ (海産物、調味料など7カテゴリ) に関係が認められること、2) 訪日経験が高いほどインフルエンサーへの信頼度が高くなること、3) インフルエンサーへの信頼度が「ある」回答者は、「ない」回答者よりも観光意向の効果量がかなり高くなること、4) インフルエンサーごとに効果量の高い構成概念に特徴がみられること、が明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 インバウンド観光が復活し、訪日中国人旅行者を対象としたポスト・コロナのデータ収集が可能になったため、2022年実施予定を延期していたアンケート調査が実施できたこと、収集したデータにより2022年度に開発した本研究の仮説検証を行うための「観光意向の2次因子モデル」を用いて分析したところ、モデルの適合度が良く新たな知見を得ることができたこと、その成果を日本マーケティング・サイエンス学会で発表できたことなど、研究は概ね順調に進めることができたと考える。 ただし、当初の計画では2023年度に予定していた中国人消費者の観光土産の「受け手」を対象とした調査を2024秋に変更することとした。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、①2023年度の調査における課題をふまえた調査項目を設定し、観光土産の「受け手」を対象にブランド態度とポスト・コロナの観光意向について専門のインターネット調査会社に依頼し調査を行い、モデルを用いて分析する。また、「買い手」と「受け手」の観光意向とブランド態度の差異について分析する、②分析を実施した観光土産ブランドの中から結果に特徴が見られた事業者を選定し、現状のブランド戦略を確認する目的でインタビュー調査を実施する。③買い手、受け手の分析結果にもとづき、観光意向因子により被験者の分類を行い、分類されたグループごとに影響が確認できたブランドの特徴をふまえたマーケティング・アプローチの提案を行う。 なお、研究期間において、調査データの分析をすすめ、学会発表を3回、論文3本にまとめる予定である。
|