研究課題/領域番号 |
22K12617
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
市川 哲 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (40435540)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 東南アジア / マレーシア / ペナン / サラワク / 観光人類学 / エスニックツーリズム / 観光土産 / 多様なゲスト / 文化の商品化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では観光の場における「文化の商品化」の多様なあり方を、市場経済の枠組みでのみ理解するのではなく、個別地域の社会的・文化的背景を視野に入れることにより理解することを試みる。そのための事例として、本研究では東南アジアの典型的な多民族国家マレーシアのエスニック・ツーリズムを選択する。そして少数民族コミュニティを対象としたエスニック・ツーリズムが行われる代表的な地域であるサラワク州と、マレー人や華人、インド人等、複数の民族集団によって形成された多民族状況がエスニック・ツーリズムの観光資源となるペナン州という、二つの事例を選択する。
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研究実績の概要 |
本研究は東南アジア地域における文化の商品化という問題を、特に観光の場におけるエスニック・ツーリズムやエスニック・アート、観光土産を事例とすることにより、実証的に研究することを目的としている。特に多民族国家マレーシアを調査地として選択し、その中でもUNESCO世界文化遺産として認定され、歴史的な都市景観や生活様式が観光資源となっているペナンと、熱帯雨林に代表される自然環境が管区資源とされるエコツーリズムおよび現地の少数民族の地域的な生活文化が観光資源とされるエスニックツーリズムが盛んなサラワク州を具体的な調査地として選択する。これらの地域はヨーロッパや東アジア、イスラーム圏、近隣の東南アジア諸国といった外部社会からの政治経済的かつ社会文化的な影響を受けた独特の歴史的・文化的背景が観光資源になるペナンと、熱帯雨林の中で生活する少数民族の独特のエキゾチックな文化を観光資源とするサラワクという点で相違点がある。従来の観光社会学的・観光人類学的な研究は、このような観光地の文化をホストとゲストの相互交渉による新たな文化の創造や演出、文化の混交といった観点から分析してきた。だが実際にはこれらの地域を訪問するゲストにはドメスティックなゲストや外部者界出身のゲスト、さらにはドメスティックなゲストの中にも多民族社会特有の多様性が存在する。本研究はこのような「ゲストの多様性」が特定の観光地に反映される現状を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は新型コロナウイルスの世界規模での流行が依然として終息しておらず、現地を訪問し民族誌的なフィールドワークを行うことが不可能であった。また新型コロナウイルスの流行自体、これまでにない新たな政治的・経済的・社会的・人口移動的な変化をホスト側にもゲスト側にももたらしたため、現在進行形の変化の研究は困難を極めた。そのため本年度の本研究は、申請者が従来、これらの地域で行ってきた民族誌的資料の整理や新型コロナウイルス流行以前になされた類似した理論研究・事例研究の収集と整理に充てられた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年以降、世界各地で新型コロナウイルスに対する出入国緩和が進み、観光客や観光関連産業、観光地での現地住民の各種活動が復活して来た。それに伴い、本研究者が所属する本務校も海外での現地調査を徐々に許可するようになった。そのため本年度以降は上記の調査地での現地調査を行うことにより、本研究計画の目的である、観光文化の商品化の多様な性格を、フィールドワークや現地資料の収集という実証的な作業と、先行研究や理論研究の整理と分析という理論研究の双方向から推進し、本格的な調査研究を行うことを計画している。
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