研究課題/領域番号 |
22K12618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
天野 景太 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (30511349)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 観光危機 / 観光危機管理 / ポスト・コロナ / マイクロツーリズム / バーチャルツーリズム / アンダーツーリズム / ソフトツーリズム / レジリエントツーリズム / 観光公害 / SDGs / オーバーツーリズム / パンデミック / 知識社会学 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究では、現代日本における観光に関連するさまざまな「危機」を、①観光産業や観光地が被害を受け危機的状況に陥ること(災害や感染症によるパンデミックなど)、②観光の過度な進展により地域の自然環境や在来の社会・文化等が危機的状況を被ること(オーバーツーリズムなど)の2つに分類し、その事例についてのデータベースを作成した上で、こうした「観光危機」のあり方を総合的・体系的に説明するための枠組みを構築する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、前年度に構築した「観光危機」「観光危機管理」の概念(定義、危機・危機管理の類型、分析枠組み)に基づき、具体的な事例にあてはめて説明することを、主に実施した。その事例として、主に、2020年初頭からから2023年春先にかけて世界を席巻したコロナ・パンデミックを取り上げ、一連のパンデミック下における観光実戦の様態を、「観光危機の到来とそれへの対応」という視点から総括した。 具体的には、第一に、コロナ・パンデミックが観光現象に対してどのような「危機」をもたらしたのかについて整理し、第二に、これらの「危機」に対して、観光事業者や行政、観光研究者らが、どのような施策や対処を行ったのか、あるいは、パンデミックの中にあっても持続的に観光事業を実践するにあたり、どのような観光形態が模索され、試されてきたのかを、主に5つの観光形態(マイクロツーリズム、バーチャルツーリズム、アンダーツーリズム、ソフトツーリズム、レジリエントツーリズム)に着目しながら検討し、第三に、ポスト・コロナ時代の到来を見越したパンデミックへの「危機管理」が、現在および将来どのような思想に基づき提起されてきたのか、あるいは提起されうるのかについて、評価を行った。 その結果、現段階ではポスト・コロナ時代に適合した新たな観光理論の登場やパラダイムの転換には未だ至ってはいないものの、コロナ・パンデミックを通じて、それ以前から模索されてきた観光形態の実践が加速したこと、コロナ・パンデミック中に「観光危機」への備えを実践してきた諸地域では、その実践が「危機」が去りつつあるポスト・コロナ時代にあっても実効性を伴ってきていること、などが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度の当初計画では、第一に、より広範な事例の収集を、第二に、任意の観光危機事例の詳細な分析を目論んでいた。本年度は、第二の課題に特に力点を置いて進捗したため、第一の課題については、十分な量の事例収集が実現できず、次年度への課題として積み残すこととなった。しかし、第二の課題に関しては、コロナ・パンデミック期の観光危機の総括とポスト・コロナ時代への移行期の状況の記録と分析という、現在進行形で展開する事象を追いながら、まさにこの時期に行うことこそに意義のあるup to dateな事例を取り上げることとなったため、当初計画以上の成果を挙げたものと思量される。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、前年度に積み残した課題(より広範な事例収集)を行い、第一に、「観光危機」と「観光危機管理」に関するデータベースをより充実させること、第二に、本研究の総括として、知識社会学的な視点にもとづく観光危機に関する理論構築を進めること、を推進する。
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