研究課題/領域番号 |
22K12626
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
柴原 尚希 中部大学, 工学部, 准教授 (80509191)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 持続可能な観光 / 日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D) / 観光地域づくり法人(DMO) / ライフサイクルアセスメント(LCA) / ニューツーリズム / リモート観光 / メタバース観光 / ワーケーション / STARs / バーチャルツーリズム / 配分 |
研究開始時の研究の概要 |
観光に伴い消費されるエネルギーや排出される温室効果ガス(主にCO2)の量を定量的に把握する手法の一つにライフサイクルアセスメント(LCA)がある。しかし、持続可能な開発目標(SDGs)や日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)では、CO2排出総量の定量化だけでない、広い意味での持続性評価やマネジメントが求められている。さらに、ワーケーションやバーチャルツーリズムなど、新たな形態の観光も登場している。
そこで、観光のLCAの方法論に関する理論の体系化とデータ整備を進め、観光の持続可能性の分析ツールへと発展させることで、意思決定や持続性の評価・マネジメントに活用可能な分析手法として構築する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、観光のライフサイクルアセスメント(LCA)の方法論に関する理論の体系化とデータ整備を進め、観光の持続可能性の分析ツールへと発展させることで、意思決定や持続性の評価・マネジメントに活用可能な分析手法として構築することを目指している。 2023(令和5)年度は主に、1)観光地域づくり法人(DMO)を対象に持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)に関する取り組みの現状について評価、2)コロナ禍を機に登場した新たな観光形態(ニューツーリズム)についてLCAを用いた評価の方法論の検討、を実施した。 1)について、中部地方のDMOを対象に、日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)の基準に基づき、外部からの評価を試みた。その結果、マネジメントに関する評点が高く、環境に関する評点が低い傾向が見られた。また、DMOへのヒアリングを実施した結果を内部評価と捉え、外部評価と比較したところ、内部評価の総合スコアの方が高い傾向があった。すなわち、実際には取り組んでいるにもかかわらず、情報開示が難しく外部からは判断しづらい項目があることが示された。 2)について、3種のニューツーリズムを対象に、ライフサイクル全体での環境負荷排出要因を整理し、GHG排出量の算定及び従来型観光との比較を行うことで、LCAによるケーススタディを実施する際の論点整理を行った。リモート観光では、散策や自然体験などの旅行の付加価値が得られないことから、機能単位をどのように捉えるかについてさらに検討していく必要がある。メタバース観光については、ゲームサーバーの電力消費量の推計方法やユーザー1人あたりへの配分方法を検討する必要がある。ワーケーションについては、業務時間、滞在日数、観光内容など異なる機能単位を設定して複数のケーススタディを行ったところ、機能単位の設定方法によって比較結果が異なることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023(令和5)年度の研究実施計画では、国連世界観光機関(UNWTO)等で提案されてきている、経済、社会、環境への影響を十分に考慮した持続可能な観光指標を調査・整理し、LCAによる評価で貢献できる対象を抽出し、それらの評価手法論を確立することを予定していた。また、前年度に引き続き、各種学会・展示会での情報収集、各地域や観光地に対する詳細なヒアリングを実施した。 各種学会において、環境負荷の定量化手法に関する最新の動向を調査したところ、観光の評価に関する発表が少ないことから、本科研費により方法論を確立する必要性を再確認できた。各種展示会では、最近の新たな観光形態、旅行会社等によるカーボンニュートラル実現に向けた取り組みやその定量化のためのソフト・ツールに関する情報を知ることができた。 以上を踏まえ、中部地方の観光地域づくり法人(DMO)を対象に、持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)に関する取り組みの現状について、日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)の基準に基づく評価を実施した。また、コロナ禍を機に登場した新たな観光形態(ニューツーリズム)であるリモート観光、メタバース観光、ワーケーションを対象に、ライフサイクル全体での環境負荷排出要因を整理し、GHG排出量の算定及び従来型観光との比較を行うことで、LCAによるケーススタディを実施する際の論点整理を行った。 本年度までにDMOに関する分析やニューツーリズムのLCAによるケーススタディの実施を試みており、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2024(令和6)年度は、2022(令和4)~2023(令和5)年度に検討した評価手法を深化させる予定である。 DMOを対象にした持続可能な観光に関する取り組みの現状評価については、評価対象を中部地方から全国へと展開し、地域ごとの特徴や傾向を捉える予定である。可能であれば、自治体や宿泊事業者の評価も試みる。 ニューツーリズムのLCAによる評価については、各種学会・展示会での情報収集により、新たな観光形態に関する調査を継続し、それらのケーススタディの蓄積を図る。 これら一連の議論や検討結果を、国内の環境関連の学会、国際会議において発表するとともに、論文誌へ投稿する。
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