研究課題/領域番号 |
22K12628
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
大野 哲也 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (40598075)
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研究分担者 |
岩谷 洋史 姫路獨協大学, 人間社会学群, 講師 (00508872)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 冒険 / ツーリズム / ネパール / エベレスト / 冒険ツーリズム / 登頂ツアー / フォトエスノグラフィー / 真正性 |
研究開始時の研究の概要 |
極地への到達といった「冒険」は、現在、多くの人が経験できるものへと変容し、冒険ツーリズムの生成へと至った。ツーリズムが安全を優先することで発展し、社会に定着してきたプロセスを踏まえれば、生命の危機を伴う「冒険」はツーリズムの理念とは相容れない。冒険ツーリズムは矛盾する語彙で構成されているのだ。 冒険ツーリズムは、道具などモノの開発、観光業者によるツーリズム・ロジスティックスの整備、国家による観光資源化などの要素が「冒険」と絡まり合うことで生成したと考えられる。 本研究は、この絡まり合いを精緻に記述し、さまざまな要素を全体論的に捉えることで、ツーリズム研究に新たな視座をもたらすことに資する。
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研究実績の概要 |
2023年5月に約2週間、エベレスト・ベースキャンプ周辺でのフィールドワークを実施した。首都カトマンズからエベレスト・トレッキングの入り口にあたるルクラまで飛行機で飛び、そこから高度順化をおこないながら標高5350mのエベレスト・ベースキャンプまで徒歩で移動した。 カトマンズ出発時から戻ってくるまでの間は可能な限り写真を撮ることに専念した。これらの写真を元にして、2024年度には調査協力者ととともに研究の成果物としてフォト・エスノグラフィーを出版する予定である。 エベレスト・ベースキャンプまでのルートはトレッキングの設備(ホテル、食堂、土産屋、病院、登山用品店、緊急時のヘリポートなど)が整っており、世界各国から多くの人がヒマラヤを満喫している。彼らのほとんどはベースキャンプを目指す。 それはエベレスト登山も同様で、ネパール側は史上最多となる478人に登山許可を出したと言われている。これはネパールにとって大きな収入源となっている。 こうしたことも相まって、現在では、エベレスト・ベースキャンプには登山シーズンになると連日多くの人で賑わっている。中には登山技術が高くない人、あるいは体力的にエベレスト・トレッキングに耐えられない人も多い(23年は、エベレスト登山で17名の死者が出ている)。彼らは一様にチャーターしたヘリコプターで下山することになる。これらの様相から、ベースキャンプは、ディズニーランド、ユニバーサルスタジオと並んで第3のテーマパークとさえ呼ばれるようになった。 22年、23年度の調査データを元にして、桃山学院大学の社会学部紀要である社会学論集に「テーマパーク化するエベレスト」を投稿・掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って順調に調査・研究は進んでいる。2023年度までのデータをまとめ、24年度には分担者や研究協力者とともにネパールのカトマンズ文化とエベレスト登山という冒険を中心的テーマに据えて、フォト・エスノグラフィーを出版する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
フォト・エスノグラフィー出版のために、まだ不足しているデータ、写真の撮影のためにネパールに向かい、資料を揃え、本の出版に向けて作業を進めていく。 具体的には4月の終わりから5月にかけてネパールに向かい、データの収集に尽力する。 この書籍の出版によって本研究の社会的貢献の一助にしたい。
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