研究課題/領域番号 |
22K12629
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
林 幸史 大阪国際大学, 人間科学部, 准教授 (10567621)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 一人旅 / ウェルビーイング / ヘドニック / ユーダイモニック / 旅の記憶 / 記憶の機能 / 心理的ウェルビーイング |
研究開始時の研究の概要 |
一人旅の経験は、自己を象徴する記憶となって、持続可能なウェルビーイングをもたらすのではないだろうか。快感情やリラックスをもたらす観光の機能的側面に比べて、精神的成長や自己変容をもたらす旅の機能的側面は看過されてきた。本研究の目的は、持続的幸福としての心理的ウェルビーイングをもたらす一人旅の経験とその記憶の働きについて明らかにすることである。ライフスパンにおいて旅の時間は刹那である。しかし、一人旅の記憶に意味づけや評価を行ったり、繰り返し想起することによって、その後の人生に肯定的な影響をもたらすことが考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、持続的幸福(ユーダイモニックなウェルビーイング)をもたらす一人旅の経験とその記憶の働きについて明らかにすることである。ライフスパンにおいて旅の時間は刹那であるが、その記憶は後の人生に影響をもたらすという視点に立つ。 2022年度の研究実績としては、(1)観光とウェルビーイングや、記憶に残る観光経験についての文献研究、(2)日本一周中の一人旅の旅行者への聴き取り調査、(3)一人旅の経験が豊富なゲストハウスオーナーへの聴き取り調査があげられる。文献研究の成果としては、従来は、快楽主義的(ヘドニック)なアプローチが多数を占めていたが、近年、持続幸福主義的(ユーダイモニック)なアプローチが増加していること、それらの理論的背景は、Seligman(2011)のPERMAモデルや、Ryff(1989)の心理的ウェルビーイングの概念であることが分かった。一人旅の旅行者を対象とした調査では、一人旅の心理・体験過程を明らかにするために、旅まえ、旅なかについて聴き取りを行った。その結果、雨中ずぶ濡れになりながらの長時間移動などで苦難や試練を経験することが、充実感や達成感をもたらしていること、語られた経験内容は、PERMAモデルとの対応が可能であることが分かった。ゲストハウスオーナーを対象とした調査では、人生で最も長い旅の経験と記憶が、今の自分にとってどのような意味をもつのか、旅の文化の継承を担うゲストハウス開業に至った経緯について聴き取りを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の2022年度計画では、一人旅の心理・体験過程の解明のための調査と、記憶に残る一人旅についてのウェブ調査に着手することであった。記憶に残る一人旅のウェブ調査については、次年度以降に延期することとなった。その理由は、記憶に残る観光経験(memorable tourism experiences)の既往研究のレビューまでは実施できたが、尺度の開発までには至らなかったからである。そこを補完するために、ゲストハウスオーナーを対象とした記憶に残る一人旅の調査を新たに計画し実施した。これらのことから総合的に評価し、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度から着手している一人旅中の旅行者や、ゲストハウスオーナーへの聴き取り調査は継続して実施する。それに加えて、一人旅の自己関連機能尺度の開発を目指すとともに、一人旅の心理・体験過程の特徴を浮き彫りにするために、同行者の有無、旅行期間、移動手段(マイカー、バイク、鉄道)などが異なる多様な旅行者を対象として、webアンケートでの調査を実施予定である。
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