研究課題/領域番号 |
22K12643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
山崎 明子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (30571070)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ジェンダー / 手芸 / キリスト教 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、近代日本における西洋手芸の受容と普及の実相を明らかにするために、その伝達者である女性宣教師の手芸観、受容者である日本人女性のミッションスクールの手芸教育、そしてその両者をつなぐ媒介者であるバイブル・ウーマンの手芸の痕跡から、明治前半期のキリスト教女性文化と西洋手芸の関係を明らかにするものである。本研究によって、西洋手芸文化の受容が近代日本社会に与えたインパクト――創造のスキルの獲得・ジェンダー秩序の組み換え・女性の社会的地位への問いかけ――を検証し、女性に特化して伝達された文化の再評価を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、明治中期以降女性に普及した西洋手芸文化が、明治初頭にいかなる状況で受容され、その伝達にキリスト教の女性宣教師やバイブルウーマンがどのようにかかわりを持ってきたのかを明らかにするものである。2022年度は近代のキリスト教受容と手芸普及に関する基礎調査として、大きく2点の調査研究を行った。 第一に、東京YWCAの機関誌である『地の塩』を中心に文献調査を行った。本資料からは、手芸や裁縫に関する活動を読み取ることができるものの、初期の手芸受容という点から時代的なズレがあることと、地域が限定されているために、今後資料の範囲を『女子青年界』へと広げたいと考える。 第二に、日本へのキリスト教伝道が開始される同時代もしくはそれ以前の段階で、英米において教会での奉仕活動として女性たちに担われていた手仕事について、19世紀に刊行された手芸書の調査分析を行った。19世紀初頭から始まる女性たちによる手芸による教会活動は、特にイギリスにおいて行われ、その後北米でも展開された。教会内における女性たちの地位向上を目指す動きと連動しており、積極的に手芸品を制作することが目指され、そのためのデザインの供給やレシピの提供が推進されたことが背景にある。こうした動きは、同時代のウイリアム・モリスの活動とは一線を画し、社会的な評価も十分に行われてこなかった。本調査に基づき、論文を一本執筆した。 こうした調査研究を行うとともに、東京都内に残る近代のキリスト教系の授産施設に関する基礎調査を開始するとともに、神戸・東京のキリスト教系女学校の手芸教育についても資料収集を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響で前年度の科研費プロジェクトを繰り越しており、本課題と並行して調査研究を行っているため、特筆すべき成果をあげることはできていないが、本研究課題は概ね順調に進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、以下の調査研究を予定している。 第一に、キリスト教系の女性団体に関する資料収集とその読解、分析を継続して行う。第二に、複数のキリスト教系女学校とその周辺地域における女性たちの活動を調査し、手芸活動の状況を分析する。第三に、バイブルウーマンに関する基礎調査と文献講読を進め、彼女たちの活動において手芸制作がいかなる意味を持ちうるのかを検討する。 その他、必要に応じて現地調査を行うとともに、女性宣教師たちの文化的背景などの調査研究も継続して進める予定である。
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