研究課題/領域番号 |
22K12646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 大阪信愛学院大学 |
研究代表者 |
廣森 直子 大阪信愛学院大学, 教育学部教育学科, 准教授 (40315536)
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研究分担者 |
渋谷 典子 愛知大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20555510)
瀬山 紀子 埼玉大学, その他部局等, 准教授 (00599813)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 公務非正規 / 専門職 / 女性 / 持続可能性 / ジェンダー差別 / 実証研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、女性が多く働く公務非正規労働の専門職の実態を明らかにし、その持続可能性を検討することを目的とする。公務労働の非正規化によって、公共サービスとしての高度な専門性が求められつつ不安定・低処遇で働く専門職は、非正規公務員というカテゴリーが生み出した差別とジェンダー差別の二重性を経験している。公務非正規労働によって担われている専門職種を対象とした調査によって、職場の実態、個人のキャリア形成プロセスを分析し、専門職の特殊性や公務労働の共通点を検討する。当事者の女性たちがたちあげた“公務非正規女性全国ネットワーク”と連携して調査を実施し、その成果を社会にフィードバックし幅広い連帯を図っていく。
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研究実績の概要 |
本研究は、女性が多く働く公務非正規労働の専門職の実態を明らかにし、その持続可能性を検討することを目的としている。 2023年3月に研究代表者の所属先の研究倫理委員会の承認を得て、2023年4月より公務非正規専門職で働く女性へのインタビュー調査を開始した。インタビュー協力者は、公務非正規女性全国ネットワーク(通称:はむねっと)の協力を得て、2024年3月までに23人に実施した。研究代表者は、2023年7月までに行った13人へのインタビュー調査のデータから分析を行い、9月に学会発表を行い、2024年3月には、はむねっと発足3周年ハイブリッド集会において本研究を基調とした講演を行った。本研究の調査結果をもとに、研究分担者、研究協力者らがこれまで公務非正規問題にかかわってきた実績も含め、多くの成果を公表している。 本研究では、彼女たちの経験している非正規公務員というカテゴリーが生み出した差別とジェンダー差別の二重性を明らかにし、そのことが専門職としての仕事の持続可能性にどのような影響を及ぼしているのかを検討している。調査からは、低処遇が雇用区分として固定化し専門職としての裁量や責任を持ちづらい状況、有期雇用ゆえに常に雇用継続の不安を抱え専門性形成の土台が奪われていること、専門職が非正規雇用されているため職場での温度差が生じやすいこと(専門職であろうとする志向の強弱、あくまで非正規であるという意識など)、職場での尊厳の問題(メンバーシップのなさ、マイクロアグレッションなど)、職場の問題状況を訴えづらく声を出しづらいこと、などが明らかとなった。これらの分析からは、現状のままでは、非正規労働により支えられている公共サービスの持続可能性は危機的な状況であることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
公務非正規専門職で働く女性へのインタビュー調査を5職種(図書館司書、学校司書、相談職、女性関連施設職員、社会教育職員)各5人をめざし、2024年3月末までに23人実施した。各職種で職場の状況も異なり、専門性の内容も異なっており、地域や自治体規模、専門職が複数配置されているかどうか等に応じて、様々な状況を聞き取ることができた。インタビューデータはテープ起こしをして逐語録を作成し(1人のみ記録対応)、分析対象とするためのデータの整理を行っている。 当初の研究計画では職種別Web調査も計画していたが、インタビュー調査での聞き取り内容が豊富であるため、そのデータ整理を行いつつ、必要に応じて追加調査を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
公務非正規専門職で働く女性へのインタビュー調査を5職種(図書館司書、学校司書、相談職、女性関連施設職員、社会教育職員)各5人、計25人への調査を2024年度6月までに終え、逐語録の作成とデータの整理、分析を行う予定である。 2024 年度日本女性学会大会において、パネル報告「公共サービスの持続可能性を考える~ジェンダー視点で捉える公務労働」を、本研究の調査分析内容に基づき企画している。成果報告とディスカッションにより、今後の研究推進、分析の視点を深めたい。
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