研究課題/領域番号 |
22K12655
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
林 葉子 名古屋大学, ジェンダーダイバーシティセンター, 教授 (60613982)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 自由廃業運動 / 「人権」概念 / 娼妓 / 芸妓 / 植民地主義 / 公娼制度 / 廃娼運動 / 性管理政策 / 人身売買 / 自由廃業 / 人権 / インターセクショナリティ / 帝国 / キリスト教 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、1886年から1946年までの時期を中心に、日本と関係の深い廃娼派キリスト教団体や宣教師(①万国廃娼同盟会、②救世軍、③W. W. C. T. U.、④メソジスト・プロテスタント教会のU.G.マーフィー)の国際ネットワークで発信されていた情報の史料を、英国、米国、オーストラリア、ニュージーランド等の図書館と資料館で調査し、それらの史料を用いて、日本人女性の人身売買の問題が当時の国際社会でどのように報じられ、問題解決のためにどのような活動が行われていたのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、本研究課題に関し、論文1本(「自由廃業運動の全国的拡大と「人権」問題-1900年の娼妓・芸妓の契約をめぐる当事者の闘争を中心に-」『日本史研究』729号)と、共著1冊(「恋愛の自由を売らずに生きていくために―廃娼論者としての山川菊栄が主張していたこと」『未来から来たフェミニスト―北村兼子と山川菊栄』)を刊行し、2つの国際学会(The Association for Asian Studies (AAS) in Asia、東北亜歴史財団(韓国)主催国際学術会議「ナショナリズムと性動員、その連続と断絶」)において口頭発表を行った。 自由廃業運動は、日本の公娼制度下の人身売買問題の解決を目指して日本と欧米の廃娼運動団体が国際的な協働を開始した最初の事例であり、その初期の実態について、日本全国の約40の新聞を網羅的に調査して分析した上記の『日本史研究』所収の拙稿は、本研究の基盤となる研究成果であるといえる。 また、AASおよび東北亜歴史財団での口頭発表は、日本の近代公娼制度と廃娼運動がどのように世界史に位置づけられるかという論点をめぐり、主に日本とイギリスで収集した史料をもとに解説するものであった。後者は論文にまとめ、2024年度中に共著として刊行する予定である。 また、本研究課題と関連の深い宋連玉氏の新刊『植民地「公娼制」に帝国の性政治をみる―釜山から上海まで』の公開合評会を、本科研と徐阿貴氏が研究代表者である科研との共同開催の形で主催し、朴貞愛氏とハオ・シャオヤン氏と共に3名で書評し、植民地公娼制度下の人身売買問題、および、アジアにおける廃娼運動についての討論を行った。 この他、日本の廃娼運動の先駆者である佐々城豊寿について論じた小檜山ルイ氏の新刊の書評(『図書新聞』3625号所収)や、雑誌コラム「〈女性の穢れ〉と近代公娼制度」(『エトセトラ』9号所収)を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の解明のための史料調査と、その調査に基づく研究発表は、おおむね順調に実施できている。 2023年度は、史料収集のため、オーストラリア国立図書館(オーストラリア・キャンベラ)、英国図書館およびフレンド派図書館(イギリス・ロンドン)へ行き、廃娼運動関連の史料の調査を行った。ニュージーランドでの収集を予定していた史料は、当該資料館におけるデジタル化の進展により、オンラインで入手することが可能になり、入手後にその分析を開始した。 国内においても、国会図書館等で、調査対象の時期の人身売買の実態について、調査を進めた。その研究成果の一部は、論文として発表することができた。 本年度は、(本研究課題の申請時には未定だった)2つの国際学会発表を行い、また、新たに本研究課題に関連する書籍の公開合評会を企画して開催することになったため、それらの準備に特に力を入れた。2024年度には、それらの研究発表の内容をもとに、論文を発表し、書評を学術誌に寄稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に実施したイギリスやオーストラリアでの史料調査の結果、イギリス帝国が主導した廃娼運動について、日本に関連する史料の存在が新たに判明したため、申請時の米国での史料調査の予定を変更し、2024年度および2025年度は、イギリスに関する史料の調査に、より重点を置くことにした。 また、本研究課題において自由廃業運動の実態解明を行うことの意義の大きさが確認されたことから、特に自由廃業運動に関連する史料に重点を置いて調査と研究を進める予定である。 2024年度は、政治思想学会のシンポジウムでの口頭発表と、共著の刊行を予定している。
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