研究課題/領域番号 |
22K12657
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
牧野 雅子 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (70638816)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ジェンダー / 警察 / 婦人警察官 / 女性警察官 / 駐在所 / 電話交換手 / 婦人補導員 / 交通巡視員 / 内助の功 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の警察組織における、女性治安維持要員の採用・登用の経緯や組織内での役割、組織内外の意識の変化について、都道府県警察が発行する広報資料や警察史等の他、警察職員を対象にした雑誌や機関誌等を分析して、警察組織のジェンダーの有り様を歴史社会学的に明らかにする。研究の対象には、正規の警察職員だけでなく、駐在所員に帯同して業務を補佐する「駐在所夫人」や警察官の妻に期待される「内助の功」も含め、治安維持業務におけるジェンダーの有り様を探る。
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研究実績の概要 |
警察組織のジェンダーの有り様を歴史にそって明らかにすべく、婦人/女性警察官及び女性警察職員の採用・登用にかかる経緯や役割を中心に資料調査を行い、制度の概要を把握した。 戦後まもなく、警察の民主化の一つとして、警視庁を皮切りに全国で婦人警察官が誕生した。「婦人警察官」という呼称は便宜上つけられた俗称であり、身分は警察官の職務権限を持たない書記であった。しかし、実際の業務では、書記という身分では単独で違法行為を取り締まれない等、業務に支障が生じることが少なくなかったため、兵庫県をはじめとして、婦人警察官に教養訓練を施して巡査身分を付与したところも出てきた。その後、警察組織が改編されると、婦人警察官はその影響を真っ先に受け、採用が見送られたり、婦人警察官から事務吏員への身分替えが積極的に行われたりして、婦人警察官数は激減した。 1950年代、少年非行が社会問題化すると、問題少年の早期発見と少年の有害環境浄化の推進を目指した婦人少年補導員制度が導入された。少年補導員に女性が採用されたのは、少年補導活動に「母親的アプローチ」を採り入れ、「女性の母親的感覚の特性を活用」しようという目的からであったが、「母性」は経験ではなく女性に所与のものとして扱われるようになり、既採用の婦人警察官の多くも少年警察分野に配属されて、少年補導業務が「女性」の職務として制度化されていく。 交通情勢の悪化に伴い、1970年の道路交通法の一部改正によって、街頭活動に当たる交通専務員である交通巡視員が誕生した。制度発足当初から、女性に限定して採用するところが圧倒的であった。警視庁や大阪府警等では、交通事情の厳しさに鑑み、条例の改正を行って、交通巡視員の定員を執行力が高い婦人警察官として運用した。これにより婦人警察官数は増加したが、交通安全教育や駐車禁止違反の取締りが女性役割として定着していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
警察制度の変遷や 占領期の婦人警察官誕生の状況、担当者を概ね女性に限定して誕生した補導員や交通巡視員制度については、警察史に関する資料を検討し、概要を把握した。 駐在所夫人の担った役割については、駐在所夫人の手記等の資料の調査・収集を概ね終了した。今後は組織にとっての駐在所夫人がどのように位置づけられ、準構成員として運用されてきたのかについて、調査研究を進める。 都道府県警察毎の資料調査は、東京及び近畿地方については完了しており、その他の県についても調査を進めるとともに、収集した資料の分析を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、都道府県警察毎の婦人/女性警察官採用や登用の経緯について、公的資料や地方新聞の記事の調査を行うとともに、収集した資料の分析を行う。 女性の採用や登用と社会情勢との関係についても調査・考察をすすめるとともに、諸外国の女性警察官の採用や登用との比較を行う。
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