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理想的な中性子単色化装置用スリット材の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K12663
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分80040:量子ビーム科学関連
研究機関国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

梶本 亮一  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究主幹 (30391254)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワードパルス中性子源 / 非弾性中性子散乱 / フェルミチョッパー / 中性子分光
研究開始時の研究の概要

パルス中性子源における非弾性中性子散乱実験装置にとって、中性子ビームを単色化するフェルミチョッパーは最も重要なコンポーネントの一つである。その基本構造は、ホウ素の同位体B-10の中性子吸収材とアルミニウムの中性子透過材を積層したスリットの集合体である。本研究では、従来のB-10繊維やB-10粉末を接着剤と混ぜ合わせて吸収材を作る製法に代わり、溶射というコーティング技術を利用することで、従来の製法で問題となっていたスリットの歪みや中性子の散乱を抑えることが可能な、高B-10密度・接着剤ゼロの理想的なフェルミチョッパースリット材の開発を目指す。

研究実績の概要

本研究では、パルス中性子源における非弾性中性子散乱実験装置のキーコンポーネントの一つである、フェルミチョッパーの理想的なスリットパッケージの開発に向けて、中性子の散乱体となる接着剤(水素)を含まないスリット材の開発を目指している。その基本的なアイデアは、スリットの透過材として用いられるアルミニウム板へ、接着剤の代わりに溶射という技術を用いて中性子遮蔽材のホウ素を貼付することである。
昨年度の研究によりアルミニウム板への炭化ホウ素の溶射が技術的に可能であることが分かったため、今年度はその溶射された炭化ホウ素がフェルミチョッパーの高速回転に耐えられる十分な強度を有しているかを検証した。そのために、アルミニウム基材に50、75、100、125、150μmの膜厚で炭化ホウ素を溶射した試験片をそれぞれ3個用意し、ASTM C633-13(2021)に基づく引張試験を実施して引張強度を評価した。その結果、75μm以下の膜厚の試験片では測定値のばらつきや試験片の変形が生じてしまった。これは溶射膜が薄すぎるために、試験に際し試験片同士を貼り合わせる接着剤が溶射膜を通り抜けて基材まで浸透してしまい、接着強度が強くなりすぎてしまったのが原因だと考えられる。一方、100μm以上の膜厚の試験片ではこのような問題は生じず、引張強度を正しく評価することができ、セラミックスを溶射した場合と同程度の引張強度(14-17 MPa)を有することが分かった。
以上の結果は、国内研究会において、研究代表者が整備・運用している非弾性中性子散乱実験装置の現状を紹介する発表の一部として発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の当初計画では、昨年度にホウ素または炭化ホウ素の粉末とアルミニウム板を購入し、アルミニウム板へのホウ素溶射が技術的に可能か検証し、今年度にはその機械特性を検証する予定としていた。昨年度の実施状況報告のとおり、昨年度分研究費の一部を今年度に使用する様、変更が生じたものの、今年度は、当初計画どおりに昨年度の溶射の技術的可否の検証に引き続き、引張試験を行うことができたため、進捗状況は、おおむね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

次年度は、今年度までに作成した炭化ホウ素溶射試験片、及び、従来フェルミチョッパーに使用してきた接着剤でホウ素をアルミ板に塗布したスリット材に対する中性子照射試験を行う。両者を比較することで、接着剤の有無により中性子の散乱の大きさに違いが生じるかを調べる。
併せてフェルミチョッパースリット材として製作するのに必要なホウ素の同位体を含むB4Cの入手についても調査し、入手可能であればそれを用いた試験片の作成を行う。
本研究のまとめとして学会、論文等の外部発表を行う。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Possible future upgrades of the direct-geometry chopper spectrometer 4SEASONS2022

    • 著者名/発表者名
      Kajimoto Ryoichi、Nakamura Mitsutaka、Kamazawa Kazuya、Inamura Yasuhiro、Iida Kazuki、Ikeuchi Kazuhiko、Ishikado Motoyuki
    • 雑誌名

      EPJ Web of Conferences

      巻: 272 ページ: 02007-02007

    • DOI

      10.1051/epjconf/202227202007

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 非弾性中性子散乱装置「四季」の整備・利用状況2024

    • 著者名/発表者名
      梶本 亮一、中村 充孝、蒲沢 和也、稲村 泰弘、飯田 一樹、池内 和彦、石角 元志
    • 学会等名
      2023年度量子ビームサイエンスフェスタ
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] J-PARC非弾性中性子散乱装置「四季」の利用・高度化状況2023

    • 著者名/発表者名
      梶本 亮一、中村 充孝、稲村 泰弘、蒲沢 和也、飯田 一樹、池内 和彦、石角 元志
    • 学会等名
      日本中性子科学会第23回年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 非弾性中性子散乱装置「四季」の整備・利用状況2023

    • 著者名/発表者名
      梶本亮一、中村充孝、蒲沢和也、稲村泰弘、飯田一樹、池内和彦、石角元志
    • 学会等名
      2022年度量子ビームサイエンスフェスタ
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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