研究課題/領域番号 |
22K12666
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
藤原 幸雄 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 上級主任研究員 (60415742)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | イオンビーム / イオン液体 / 表面分析 / 二次イオン質量分析 / 二次イオン / クラスター / 負イオン |
研究開始時の研究の概要 |
二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry: SIMS)は、試料構成元素(あるいは分子)の同定や濃度測定を行う分析技術であり、有望なイメージング技術として有機材料や医薬品等への応用が期待されているが、有機分子を高感度かつ高面分解能でSIMS分析することは技術的に難しく、大きな課題となっている。本研究は、二次イオン化率と集束性の両方に優れ、チャージアップも抑制可能な新規クラスター負イオンビーム源を開発するものである。本研究で開発された負イオンビーム技術は、新方式の負イオンFIB技術として他分野への展開も期待される。
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研究実績の概要 |
液体金属イオン源は、集束性に優れており、集束イオンビーム装置に搭載され、ナノテクノロジー等を支える重要な技術となっている。液体金属イオン源は、テーラー・コーンの先端から金属の正イオンを電界放出させて正イオンビームを生成する。しかし、金属の負イオンを電界放出することはできないため、負イオンビームは生成できない。一方、液体金属の代わりにイオン液体を用いるイオン液体イオン源は、正及び負極性のクラスターイオンビームを生成可能できる。 二次イオン質量分析は、試料表面にイオンビームを照射し、それによって真空中に放出されたイオンを質量分析することにより、試料構成元素の同定や濃度測定を行う表面分析技術である。SIMS用一次イオンビームとしては、一般的に正イオンビームが使用されるが、正イオンビームを絶縁性試料に照射すると、正電荷の蓄積による帯電という問題が生じる。帯電の影響でイオンビームが曲げられたり、二次イオン量の低下などの問題が生じる。対策としては、電子ビーム照射による帯電中和が行われることが多いが、有機系試料の場合には、電子ビーム照射に起因する材料劣化が問題になる場合がある。一方、負イオンビーム照射を用いると、二次電子放出によって生じる正電荷の蓄積と負イオン入射による負電荷がバランスし、帯電電圧を大幅に低減できる。 本年度は、昨年度製作した電気ヒーターと温調器を備えた針型エミッターを用いて、イオンビーム電流の温度特性を調べた。具体的には、イオン液体(EMI-Im)を用いてイオンビーム特性に対する温度効果を調べた。その結果、温度上昇によってイオンビーム電流が増大することが確かめられた。また、120℃まで温度を上昇させても、特に問題は起きず、単調にビーム電流が増大することが確認できた。温度上昇により、イオン液体の粘性が低下し、また導電率が上昇することがビーム電流増加の理由と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
温度制御機構を備えたエミッターを用いてイオン液体の温度を制御し、温度上昇によりイオンビーム電流値の増大を可能としたことは大きな成果と考える。
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今後の研究の推進方策 |
イオン液体ビーム中には質量電荷比の異なるイオン種が混在するため、質量選別機構を構築し、イオン種を選別可能としてチャージアップ電圧を調べる。
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