研究課題/領域番号 |
22K12679
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山本 政幸 岐阜大学, 教育学部, 教授 (80304145)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | サンセリフ体 / 書体デザイン / タイポグラフィ / サンセリフ / Sans serif / Typeface / Typography |
研究開始時の研究の概要 |
今日の印刷物や情報機器に使われるさまざまな欧文フォントの中でも、字画の末端に「セリフ」と呼ばれる突起をもたないシンプルな構造の「サンセリフ書体」に着目し、その書体デザインの特性を明らかにすることにより、将来のデジタル・メディアにおける活用のための設計指針を示すことを目指す。 19世紀の初頭に初めて活字として登場したサンセリフ書体は、これまで200年の間に形状を変えながら用途を拡げ、人々の生活に不可欠な書体として発達してきた。米・英国の図書館において書体デザインの開発・改良に関する資料調査、および性能評価に関する資料調査を経て、20世紀サンセリフ書体の発達過程と各段階における特徴をまとめる。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、19世紀から20世紀にかけての技術転換と書体デザインの変化の経緯をたどった。①19世紀初頭の英国における広告活字の登場と発達、および木活字も含めた新技術導入による設計手法の変化に着目しながらサンセリフ体の発達過程を整理し、用途に応じた形状の特徴を考察した。産業革命後に登場したファットフェイス体やスラブセリフ体などの広告活字とともに発達したサンセリフ体が唯一簡素化の方向をたどり、ゆるやかにサイズやファミリーの幅を拡げ、世紀の後半に本文用書体としての機能を備えるまでの経過を書体見本帳をもとに確認した。(コロンビア大学図書館での調査を実施)②第二次世界大戦前に開発された写植(写真植字)が戦後の印刷業界に普及し、20世紀米国におけるグラフィックデザインのあり方を一変させたプロセスを確認するため、活字から写植への技術転換の過程をたどりつつ、デザイナーが取り組んだ新たな書体設計の方針を明らかにした。米国における写植開発の先駆者エドワード・ロンドターラー(Edward Rondthaler, 1905-2009)が感光体に文字を定着させる新技術の実態を探るとともに、書体デザインの商品化を開始する経緯をたどった。その上で、光学的な複製手段が自由な文字表現を可能にし、トム・カーネイズ(Tom Carnase, 1939-)やトニー・ディスピーニャ(Tony Di Spigna, 1943-)らレタリングアーティストの参加によってハーブ・ルバリン(Herb Lubalin, 1918-81)がサンセリフ体の設計に新たな方向を拓いたことを確認した。とりわけルバリンが手がけたAvant Garde Gothic、Lubalin Graph、Serif Gothicという3書体に注目し、設計段階における相互のデザインの関係を明らかにした。(ロチェスター工科大学図書館での調査を実施)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
海外における調査と整理に追われたため、予定していた日本国内におけるサンセリフ体(ゴシック体)の発達経緯に関する調査が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、20世紀におけるサンセリフ体の発達においてさらに重視すべき時代に焦点をあてるとともに、日本国内での導入と発展の経緯も探りたいと考えている。具体的には、①活字鋳造の最終段階ともいえる戦間期に発達した「モダン・サンセリフ」とよばれる幾何学的書体デザインの用途と設計手法を再確認し、19世紀の広告活字から派生した書体と第二次大戦後に写植を土台として展開した書体を連結する幾何学的なサンセリフ体の特徴を整理する。②明治期に導入された日本におけるサンセリフ体(ゴシック体)の発達の経緯をたどり、用途や設計の特徴、和文と欧文の調和に関する工夫についての情報を探る。
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