研究課題/領域番号 |
22K12680
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
土佐 尚子 京都大学, 防災研究所, 特定教授 (40521117)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 流体アート / パラボリックフライト / 無重力 / 自由落下 / アートファッション / サウンドオブ生け花 / 無重力アート / 自由落下装置 / 3次元化 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、絵具などの流体に音の振動を与え高速度カメラを用いて撮影して微小時間に多様性、有機性に富んだ造形を作り出すという新しいアート生成手法を開発すると共に、その造形をパブリックアート、車などのデザイン、建築物の設計などに応用する研究を行っている(科研費基盤研究C、インビジブルビューティー:実時間で見えない自然の美を3次元化する、令和元年度-令和3年度)。本研究は宇宙時代が近い将来到来することに着目し、上記基盤研究Cを無重力下におけるアート生成やその3次元造形へと拡張し、宇宙時代における新しいアートの制作やその応用に向けた研究の先陣を切ることをめざす。
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研究実績の概要 |
パラボリックフライトを用いた無重力下のアート生成の研究:R4年度に行ったパラボリックフライトによる無重力下での流体アート(サウンドオブ生け花)生成結果の分析・まとめをおこなった。また、無重力下での流体アート制作時のビデオを詳細に分析することによって、無重力下での流体アート生成が成功していることを確認した。無重力下でのアート生成は世界的にも初めての試みなので、結果を論文化することとした。作成した論文は、MIT Pressから出版されている論文誌Leonardに投稿した。何度かの査読者とのやりとりを経て、最終的に受理され出版された。 自由落下装置を用いた無重力下のアート生成の研究:R4年度に制作した自由落下を利用した、無重力生成装置の改良を行った。これまでの無重力生成装置は、落下の衝撃を簡易な緩衝装置で受けており、落下台に取り付けてある高速度カメラやスピーカーなどが大きな衝撃を受け、損傷する恐れがあった。ゴムが持つ衝撃吸収力を利用して、複数のゴム紐で吊り下げる方式を考案し、約2mの高さから落下させたとき、落下のエネルギーがゴムの弾性エネルギー変換されることによって、落下台が床につくことがない条件を導き出した。この設計法に基づいた新しい自由落下装置の設計・試作を行った。 無重力アートの活用法の研究:無重力下で制作した流体アートが持つ伸びやかな形状がファッションに適しているという考えのもとに、無重力アートをデザインとして用いたファッションの試作を行なった。それが関係者に好評であったため、本格的に無重力アートのファッションへの活用を試み、数十種類のファッションを制作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
R5年度の研究は、研究計画書に沿ってほぼ順調に進捗している。各項目の進捗状況は以下のとおりである。 パラボリックフライトを用いた無重力下のアート生成の研究:パラボリックフライトを用いた無重力下での流体アート生成の結果をまとめた論文が、MIT Press発行の著名な論文誌Leonardで受理され、MIT Pressより発行された。 自由落下装置を用いた無重力下のアート生成の研究:R5年度に試作した、自由落下装置装置の改良装置を使って行った流体アート生成の結果を、パラボリックフライトで行った流体アート生成の結果と比較し、ほぼ同じ結果が得られていることを確認した。その結果、自由落下装置装置の改良が成功していることを確認した。 無重力アートの活用法の研究:無重力下で制作した流体アートを用いたファッションはファッション業界で高く評価され、ニューヨークファッションウィークに招待され、ランウエイで披露した。
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今後の研究の推進方策 |
パラボリックフライトを用いた無重力下のアート生成の研究:パラボリックフライトに関しては、外部のスポンサーなどの協力が得られれば再度実施にチャレンジする。困難な場合は引き続きすでに行なったパラボリックフライトによる無重力下で生成された流体アートの分析を行い、重力下と無重力下での流体アートの特徴の違いを明確化し、今後の研究に備える。 自由落下装置を用いた無重力下のアート生成の研究:R5年度に試作した改良した自由落下装置を用いた無重力下での流体アート生成実験を繰り返し、改良した自由落下装置が正常に動作していることを確認する。また、高速度カメラの解像度をあげることによって、得られる流体アートの質の向上を図る。 無重力アートの活用法の研究:無重力下で生成された流体アートがファッションと相性がよく、無重力アートのファッションへの応用という新しい活用法が見出されたので、その方向性を追求する。
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