研究課題/領域番号 |
22K12685
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
内田 暁 日本大学, 生産工学部, 教授 (50297785)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 透過な遮蔽物 / 光環境 / 主観評価 / 印象 / 透過性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,透過性を有する遮蔽物を考慮また共存できる照明環境の構築を目的としている.具体的には,飛沫拡散防止などの理由により衛生面での対策で用いられるビニールシートやアクリル素材といった透過性を有する遮蔽物が設置された室内空間を想定して主観評価実験(心理物理実験)を行うとともに,実験結果から照明設計のための手順や資料を構築する. 本研究の成果は,今までに明らかとなっていない透過性を有する遮蔽物が設置された室内空間の照明設計手法を開拓できると考えられる.
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研究実績の概要 |
2年目は透過性を有する遮蔽物を使用した主観評価実験を実施するとともに,形状を変化させた場合の遮蔽物の光学特性を測定した。 主観評価実験は前年度と同様に,透過性を有する遮蔽物を通した対象物の印象を評価するものである.具体的には複数人の実験参加者に協力してもらい,表面にシワなどが生じていない状態での遮蔽物からの観察距離や,対象物を照射する光源の相関色温度(光色)をそれぞれ変化させた場合の,複数種類の対象物の印象を6種類の評価項目ならびに7段階の形容詞対で評価するものである。主観評価の際,観察距離は50~175cmの範囲で4種類変化させるとともに,相関色温度は電球色相当の2700Kと昼白色相当の5000Kの2種類とした。実験結果に対して統計的仮説検定を行ったところ,遮蔽物からの観察距離が150cmで対象物の評価に大きな変化は認められず,また光源の相関色温度の変化よりも遮蔽物の仕様(種類)や実験時の観察角度の変化が評価結果に影響を及ぼすことが明らかとなった。 また,一般に遮蔽物の形状は波形のシワが生じていることが多い。前年度,人工的な波状のシワを作成して光学特性(拡散反射率,透過率など)も測定した。その結果,遮蔽物の形状の作成方法や測定結果に課題があった。そこで人工的な波状のシワを有する遮蔽物を再度作成し,光学特性を測定した。測定の結果,波状のシワの変化が光学特性に及ぼす影響がほとんど認められなかった。しかしながら,実験時に遮蔽物表面を観察した際,波状のシワの変化に対して異なる印象を受けたため,これらの知見を次年度以降の研究に反映させる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現実的な場面を想定して,表面にシワなどが生じていない状態ではあるが遮蔽物からの観察距離,対象物を照射する光源の相関色温度(光色)を変化させた場合の主観評価実験の実施と実験結果の検討はおおよそ終了した。一方で人工的な波状のシワを有する遮蔽物に関する光学測定も実施したが,主観評価実験の本格的なデータ取得まで到達しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は人工的な波状のシワを有する遮蔽物とした場合の,対象物の印象に関する主観評価実験を実施し,結果を検討する。 また,透過性を有する遮蔽物の光学特性として吸光度にも着目する。一般に照明工学における物体の可視光の吸収は,物体に入射した光束に対する物体が吸収した光束の比で求められる吸収率で定量化される。一方で分光法においては吸光度が使用されることから,主観評価実験の結果と吸光度との関係を比較する予定である。
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