研究課題/領域番号 |
22K12686
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
吉岡 聖美 明星大学, デザイン学部, 教授 (80620682)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | フレイル / リハビリテーション / 高齢者 / 嚥下機能 / 認知機能 / 心理的効果 / アプリケーション / 顔ジャンケン / コミュニケーション / インタラクティブデザイン / アートプログラム / ワークショップ |
研究開始時の研究の概要 |
身体動作・思考トレーニング・創造・コミュニケーションの要素を取り入れた「アクティブアート」プログラムを開発し、COVID-19感染予防対策の影響を受けてフレイル(虚弱)状態が悪化した高齢者を健康な状態に引き戻すための研究を行う。「アクティブアート」は、モノづくりの過程で生じるモチベーションによって身体機能や認知機能のトレーニングに対する継続的取り組みを促す。また、高齢者が自宅に居ながら地域社会とのコミュニケーションを生成して楽しく取り組むことができる支援プログラムである。医療機関・施設、地域活動で「アクティブアート」を実践し、心身機能に関わる効果を定量的・定性的に評価する。
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研究実績の概要 |
「アクティブアート」プログラムの研究として、嚥下訓練と口腔顔面運動による後出し顔ジャンケンとを融合することで、嚥下機能と認知機能の維持向上のリハビリテーションとなる「顔ジャンケン」プログラムを考案した。2023年度は、「顔ジャンケン」プログラムに気分が改善する心理的効果を付加するために、「グー・チョキ・パー」の表情設定が異なる複数のプログラムを制作し、各プログラムを実施する前後における心理評価を調査した。 実験では、各プログラムで設定した顔イラスト画像をPC画面にランダムに提示し、利用者は提示された顔イラスト画像に対して口腔顔面運動による後出し顔ジャンケンを実行した。その結果、認知機能の維持向上を目的とする取り組みの実践例で使用されている「チョキ」の表情で舌を出すプログラムでは、プログラムの前後でPOMS短縮版による「抑うつ-落ち込み」およびTDMS-STによる「覚醒度」の気分に関わる有意な改善が認められず、「チョキ」の表情で口を左右に伸ばし口角を上げて笑った顔になる表情設定が有効であることを確認した。笑った顔のイラストを見る、自身が笑った顔になる、というデザイン要素を取り入れたプログラムの心理的効果が示されたと考えることができる。 本研究結果に基づいて、嚥下機能と認知機能の維持向上のためのリハビリテーションに加えて、気分が改善する心理的効果を付加した「顔ジャンケン」プログラムの表情設定を確定した。また、地域包括ケアにおける支援プログラムの現状調査では、新たに協力を得たデイケア施設(岐阜県可児市)において情報収集を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
嚥下機能と認知機能の維持向上のリハビリテーションに加えて、気分が改善する心理的効果を付加した「顔ジャンケン」プログラムを開発するための基礎研究に取り組んだ。PC画面に提示する顔イラストの表情設定が異なる複数のプログラムを制作し、各プログラムを実施する前後における心理評価を調査した結果、「チョキ」の表情で口を左右に伸ばし口角を上げて笑った顔になるプログラムデザインが有効であることを確認し、「顔ジャンケン」プログラムの表情設定を確定した。また、2024年度に予定している実践・評価に関して、協力施設との研究計画の打ち合わせを行なった。プログラム開発に関わる研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、下記の研究計画を推進する。 1)「顔ジャンケン」プログラムを人対人で現実に実施した場合と、PC等の画面に顔イラスト画像を提示して実施した場合の心理評価を調査し、AndroidやiPadなどのタブレット端末で実行できる「顔ジャンケン」プログラムの有効性を評価するための基礎研究を行う。 2)高齢者が在宅で一人でも、また、スタッフが限られる医療機関や施設においても、認知機能および嚥下機能の維持向上のためのリハビリテーションに患者自身で手軽に取り組むことができるよう、タブレット端末を用いて「顔ジャンケン」プログラムを実行するためのアプリを開発する。
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