研究課題/領域番号 |
22K12704
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
中島 誠 大分大学, 理工学部, 教授 (00253774)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 深い読み / ビジュアルシンキング / 順序記憶 / 見返し / リーディングスキル / ブラウジングインタフェース |
研究開始時の研究の概要 |
現在の人間が有する「読む」スキルは,紙で作られた冊子体を対象に長い歴史の中で定着したもので,各種感覚器官を用いることで行間に想像を巡らせて,新しい考えを思いつく「深い読み」を可能にしてきた。本研究では,情報メディアが冊子体からタブレット型(のディスプレイ)に急激に変化する時代に,「深い読み」を行える新しいスキルの発現を利用者に促すようなユーザインタフェースをデザインする。
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研究実績の概要 |
R4年度は,計画どおりデジタルメディアでのビジュアルシンキングを行うユーザの行動分析を行い,タブレットでの「深い読み」を促す有効な操作を明らかにすることを目指した。そのために, 1)デジタルメディアとして電子書籍を対象にし,Webブラウザ上で稼働する電子書籍リーダに新しいブックマークツールを実装した。人の読むスキルの解明に向けて,順序記憶(例えば小説中でのエピソードの発出順序の記憶)が紙書籍より電子書籍の方が劣ることが電子書籍上でのユーザの読解力の低下につながっているという指摘をもとに,順序記憶を想起しやすい,見返しがし易い,ブックマークの表示方法をデザインし,プロトタイプツールを実装した。各ブックマークは,ユーザが,記録しておきたい部分のみを選択することで作成でき,ブックマークの一覧表示は,作成した時間順とそれが存在する書籍上での位置の2種類の時系列情報が分かり易いように表示するものとした。 2)補助金で購入したタブレットPCにプロトタイプシステムを導入して,ユーザスタディを実施した。大学生24名を対象に,紙で読むグループ,通常の電子書籍リーダで読むグループ,プロトタイプツールを実装した電子書籍リーダで読むグループの3つに分け,著作権フリーの短編小説を読んでもらったあとに,理解力を測る質問に答えて貰った。3つのグループは,あらかじめ読解力を測る事前テストに答えてもらったうえで,そのスコアの分散に有意な差がないように被験者を配置して用意した。結果的には,順序記憶の保持についての有意な効果は認められなかったが,普通の電子書籍リーダと比較して,読解力の事前スコアの低い人でも読後の理解力テストで高いスコアをあげるなど,プロトタイプツールの可能性を見ることができた。また,プロトタイプツールのデザインについては,ユーザビリティを評価するSUSスコアによれば,非常に優れていることもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(2)おおむね順調に進展している。 当初の計画通りに,デジタルメディアでのビジュアルシンキング(今年度は,読書中のブックマーキングが相当)活動の観察を行えるプロトタイプツールを電子書籍リーダに実装でき,体系的なユーザステディも実施できた。プロトタイプツールでは,電子書籍の任意のページの任意の部分領域をブックマークできる仕組みを確立した。この機構の実現には,任意のウェブページの任意の部分領域をブックマークできる,先行研究の成果であるパーシャルブックマークの技術が活用できた。これらの機構の有効性を確認するユーザスタディにおいて,デジタル情報を扱うユーザの読みを支援するインタフェースデザインに関する新しい知見もあった。
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今後の研究の推進方策 |
R4年度の研究成果は,R5年度中に国際会議で成果発表を行う予定で,投稿中であり,必要経費は補助金を利用する予定である。発表できない場合でも,その他の会議等で発表する。今後は, 1) タブレット上の電子書籍リーダ向け読書支援システムの構築:前年度での結果を踏まえて,深い読みのための情報獲得と理解への集中を阻害するインタフェース要素を排除して,ブックマークシステムの他,読解力を向上させるインタフェースデザインを勘案し,実現する。 2)深い読みに関するユーザスタディ:前年度行ったユーザスタディでの経験をもとに,より大規模なユーザスタディを設計・実施し,より詳細なユーザの行動分析を実施する。 3)深い読みの定義:深い読みのプロセスをビジュアルシンキングのプロセスとして検証し,改めて「深い読み」の定義を行い,当研究の最終目標でもある深い読みのためのスキルトランスフォーメーションに向けた準備を行う。
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