研究課題/領域番号 |
22K12714
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 福岡医療短期大学 |
研究代表者 |
黒木 まどか 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 准教授 (00582214)
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研究分担者 |
庄山 茂子 福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (40259700)
青木 久恵 福岡看護大学, 看護学部, 教授 (70526996)
小松 美和子 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (80815639)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 歯の色 / 肌の色 / 審美歯科診療 / ホワイトニング / 歯科衛生士 / 見ため年齢 / 色彩調和理論 / 色彩調和 / 審美歯科 / 顔印象 |
研究開始時の研究の概要 |
2020年に CAD/CAM冠(3Dプリンターで作成する歯の修復物)の適応範囲が拡大され,安価で白い歯の適応が可能となり,患者の審美的側面の診療ニーズは一層高まっている。一方で,患者の肌に適する歯の色の基準がないため,歯科医療従事者は歯の色の選択に苦慮している現状がある。そこで本研究では,歯科診療の効率化と信頼性の向上を目的に,歯科衛生士の審美歯科診療に対する実態を明らかにしたうえで,異なる歯の色と肌の色を組み合わせた様々な年代の男女のモデル顔から受ける印象を調査し,その結果を基に,歯科医療従事者を支援し,患者の口元の満足度とQOLの向上に貢献する歯の色調選択の基準を提案する。
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研究実績の概要 |
審美歯科に関する一般成人と歯科衛生士を対象にした調査結果から、歯科医療従事者を支援し、患者の口元の満足度の向上に貢献する歯の色調選択基準の必要性が示唆された。これまで、人々の歯と肌の色との色彩調和に着目し、異なる歯と肌の色を組み合わせた若年女性モデル顔から受ける印象を調査し、肌の色に調和する歯の色は、肌の色と同一の調和又は類似の調和関係にある色であることを明らかにした。汎用性の高い歯の色の選択基準の検討には、女性モデル顔だけでなく、男性モデル顔を対象とした印象評価も必要である。そこで、若年男性モデル顔を基に、VITAシェードの4色の歯の色(0M1:ブリーチ色の最も明るい白色、A1:日本人に多い赤茶系の中で最も明るい色、A3:日本人の標準色、A4:高齢者に多い濃い赤茶色)と4色の肌の色(青白、美白、標準、小麦)を組み合わせた16種類の画像を作成し、同世代の男女を対象に、歯と肌の色の組み合わせに対する調和・不調和、見た目年齢、22項目のイメージを調査した。その結果、最も調和する歯の色は、青白肌は0M1、美白、標準、小麦肌はA1であった。最も調和しない歯の色は、全ての肌の色でA4であった。見た目年齢は、男女ともに全ての肌の色で明度の低い歯の色ほど高かった。因子分析の結果、2因子(内面的魅力・外面的魅力、職務遂行能力)が抽出された。歯と肌の色の組み合わせが同じサンプルで男女の平均因子得点に有意差はみられなかった。各肌の色において2因子を満たす歯の色は、男女ともに青白肌では0M1、美白、標準、小麦肌では0M1とA1、A3であった。明度の高い肌の色ほど適する歯の色の選択範囲は狭く、明度の低い肌の色ほど歯の色の選択範囲は広く2因子を満たすことが確認された。若年男性の肌の色に調和する歯の色は、男女ともに、肌の色と同一の調和又は類似の調和関係にあり、肌の色よりも明度の高い歯の色であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、歯科衛生士の審美歯科診療に対する実態を明らかにしたうえで、異なる歯の色と肌の色を組み合わせた様々な年代の男女のモデル顔から受ける印象を調査し、その結果を基に、歯科医療従事者を支援し、患者の口元の満足度とQOLの向上に貢献する歯の色調選択の基準を提案することを目的としている。 2023年度は、人々が歯の色を選ぶ場面や歯科医療従事者が歯の色を選択する場面で指標となる基準を明らかにすることを目的に、20代から30代の若年男性のモデル顔から受ける印象について、20歳から39歳の一般成人男性30名、および20歳から39歳の一般成人女性30名を対象に調査し、その結果を学会発表するとともに論文にまとめ学会誌に投稿した。さらに、汎用性の高い歯の色の選択基準を作成するために、40代から50代の中年女性モデル顔を選定し、4色の歯の色と4色の肌の色を組み合わせた16種類のサンプル作成に取り組んでいることから、おおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、人々が歯の色を選ぶ場面や歯科医療従事者が歯の色を選択する場面で指標となる基準を明らかにすることを目的に、異なる4色の歯の色と4色の肌の色を組み合わせた16種類の20代から30代の若年男性モデルの印象にどのような違いがみられるか20歳から39歳の一般成人男女を対象に調査し、若年男性の肌の色に調和する歯の色は、男女ともに、肌の色と同一の調和又は類似の調和関係にあり、肌の色よりも明度の高い歯の色であること、肌の色よりも歯の色の明度が低く、肌と歯の色の明度差が大きいほど魅力の評価が低い傾向であることを明らかにした。しかし、汎用性の高い歯の色の選択基準を作成するためには様々な世代の調査が必要である。 そこで、2024年度は、まず、歯の色が黄色みを帯び、歯肉が退縮するなどの口腔の変化を認識しやすく、審美歯科への関心が高まる世代と考えられる中年期に着目し、中年女性モデル顔画像を基に異なる4色の歯の色と4色の肌の色を組み合わせた16種類のサンプルを作成する。次に、16種類の中年女性モデルの印象について、同世代を対象に調査し、肌の色に最も調和する歯の色と最も調和しない歯の色や、それぞれの肌の色において4色の歯の色の違いにより見た目年齢に差がみられるか、4色の歯の色の違いによりサンプルに抱くイメージにどのような違いがみられるかを分析し、中年女性の肌の色別に適する歯の色を明らかにする。さらに、世代間で中年女性モデル顔に対して抱く印象にどのような違いがみられるか、20代の若年女性を対象に同様の調査を実施し、人々が求める歯の色について検討する。
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