研究課題/領域番号 |
22K12716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
時井 真紀 筑波大学, 図書館情報メディア系, 講師 (30334072)
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研究分担者 |
綿抜 豊昭 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30211676)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 浮世絵 / 空間展示 / 対話型鑑賞 / 鑑賞視点 / デジタル展示 / 鑑賞体験 / 知識獲得 / 拡張現実感 |
研究開始時の研究の概要 |
資料と向き合い、鑑賞者が知識を得るプロセスを生むためには、より鑑賞者の興味にあった幅広い資料、ならびに資料と知識に関連性を持たせるストーリー性が不可欠である。そこで、資料と知識を結び付けたストーリー性のあるコンテンツを生み出す、鑑賞者参加型デジタル展示システムを開発する。この開発したシステムにより展示実験から、鑑賞者参加型の資料のアーカイブ化の提案と資料のストーリー性による鑑賞者の知識形成サイクルの検証を行うことを研究の目的とする。
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研究実績の概要 |
筑波大学附属図書館図書館情報学図書館のメディアミュージアムにおいて空間展示を実施した。 2022年度までは感染症予防対策のための、来場規制があり、大学外の方々には来場いただけない状況であり、また自由に旅を楽しむことができない状況であった。そこで、さまざまな地域の江戸時代を描いた浮世絵をみながら、日本を旅するをテーマとして、江戸時代の暮らしにふれることができる浮世絵の展示を実施した。 多くの人々に馴染みのある歌川広重が描いた「東海道五十三次」を中心に展示することで浮世絵という資料に親しみを感じていただき、さらに研究室と図書館が所蔵する資料を同時に展示することで、来場者の浮世絵の鑑賞視点を広げることを展示の目的とした。 江戸時代の人々はどのような方法で移動していたのか。どのようなことを楽しみとして旅をしていたのか。など様々な疑問を提示し、それらの答えとなるような一場面を拡大提示するなどし、考えながらみることができるように工夫をした展示解説パネルを作成した。2023年11月3日(金)から2024年3月27日(水)までの期間、図書館情報学図書館企画展示「東海道五十三次から読み解く江戸のくらし」というタイトルで開催した。 書籍「東海道名所図会」は、江戸時代の風景を鳥観図的に描いたものであり、その時代の地形や主要な建物の配置などを知ることができる。これらの資料を浮世絵とともに、同じ地域で関連づけながら閲覧できるように展示をした。各地の寺院の巡礼記念に収めた「納札」というものがある。この「納札」のコレクションから「東海道中膝栗毛」の場面を描いた札も同時に展示した。江戸時代に描かれた資料の中には、現在の漫画のような場面の切り取り方をしているものがあり、またデザイン的な斬新さがあることを示すことができた。 地域で結び付けて資料を提示していくことで、様々な視点から資料を楽しむことができる展示を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、昨年度までの感染症予防対策のための来場規制もなく、大学外の方々にも来場いただける環境での空間展示を実施することが可能となり、より地域の方々に研究室や図書館が所蔵する資料を見ていただく展示を実施するためのテーマ設定に時間を要した。また、様々な資料を結び付けるストーリ性を持った展示づくりのために資料の細部を閲覧可能な状態にするために、資料をデジタル化し、拡大しパネル化するなどの展示品や説明文作成の作業に時間を要した。旅をテーマとすることで、様々な地域と結びついた資料を体系的に関連づけることができることを実証できた。また浮世絵の細部に注目した展示説明を提示することで、浮世絵鑑賞の面白さだけでなく、日本文化の学びにもつながることが実証できた。そこでより多くの方々に資料を見ていただくため、またこのような資料解説を画像に対して解説を付与する国際規格を調査し、今後デジタル展示として公開するための準備に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の蔵書票を用いた展示により、蔵書票にまつわる様々な視点を展示する際に、空間展示とデジタル展示の同時開催が有効であることを鑑賞者の感想から検証することができた。 2023年度は、近隣の方々に研究室や図書館が所有する資料にふれる機会から資料への興味を引き出し、鑑賞体験から知識を広げる機会を提供することを目標とし旅をテーマとして江戸時代の人々のくらしにふれることができる空間展示を開催した。 画像に対して説明を付与するための国際規格にそったデータを作り、デジタル展示として公開するために必要な技術や機材の確認を行った。研究室が所蔵する諸国六十八景をはじめとする資料のデジタル化やその資料がどこを描いたものなのかを調査し地図上で提示するなどの準備を行った。2024年度は、より多くの方々に浮世絵という資料を読み解く楽しさとそれぞれの地域に関連したデジタル展示と空間展示を同時に開催する予定である。
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