研究課題/領域番号 |
22K12718
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90020:図書館情報学および人文社会情報学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋本 陽 京都大学, 大学文書館, 特定助教 (10882615)
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研究分担者 |
元 ナミ 東京大学, 文書館, 助教 (10783920)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | アーカイブズ / 電子記録 / 電子署名 / はんこ / 印鑑 / デジタル・フォレンジックス / インターパレス / アーカイブズ学 / 長期保存 / 真正性 / デジタルフォレンジック |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、国際標準が定める保管モデルから逸脱した状態で保管されていた電子記録の証拠能力を分析し、復元しながら整理するためのワークフローを構築することである。司法の分野で証拠判別に用いられるデジタル・フォレンジックを取り入れた電子記録の整理システムを設計し、それによって国際的な水準で保管されていない多くの日本の電子記録を証拠物としてよみがえらせ、貴重な記録として保存していくための道筋を導き出す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、国際標準が定める保管モデルから逸脱した状態で保管されていた電子記録にある証拠性を分析し、復元しながら整理するためのワークフローを構築することである。 本年度に最初に注目したのは、はんこと電子署名である。はんこは、古来より日本において記録の認証の役割を果たしてきた。現在でも、プリントアウトした文書に押印する行為が継続されている。近年のデジタル社会において、押印という行為の非効率性が非難されているが、市販の認印では本人による押印であることも確証できない。つまり、記録の認証という機能すら失われているといえる。この点、自筆の署名が定着した西洋とは対照的である。また、同じような認証の機能を果たすものとして電子署名があげられるが、タイムスタンプをあわせたとしても有効期限があるため、更新の必要がある。電子記録を永久保存する第三者機関であるアーカイブズにとって、電子署名が果たす有効性を維持でき続けるかは疑わしい。以上の点につき、カナダ・アーキビスト協会で報告を行った。 国際標準が定める保管モデルから逸脱した状態で保管される電子記録の最たる事例は、個人所蔵の資料群である。電子記録資料群の整理については、デジタル・フォレンジックスのツールであるビットキュレーター(BitCurator)が北米ですでに開発されている。そのツールにより、古来より記録の証拠判定の方法論であった文書形態学(古文書学、Diplomatics)を電子記録について実践できることを確認した。成果は、「電子個人記録の整理方法:デジタル・フォレンジックスによる原秩序の検証」(『京都大学大学文書館研究紀要』21号)で公表した。 電子記録保存の国際プロジェクトであるInterPARESにも3月に参画が決定した。国際的な観点から、来年度以降も研究を継続していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アプリケーションの日本語化が技術的に難しいため。
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今後の研究の推進方策 |
デジタル・フォレンジックスのアプリケーションは、ストレージ媒体を直接読み取る必要があるため、現在主流であるクラウドサービスにはそのままの形で適用できない。今後は、アーカイブズ学がデジタル・フォレンジックスを活用してきた知見をもとに、電子記録全般の証拠性判定に活用する方法を考える。
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