研究課題/領域番号 |
22K12743
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
池田 尊司 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 准教授 (80552687)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 低出生体重児 / 脳磁図 / 視覚野 / 視覚 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の出生数が低下傾向にある中、出生時の体重が2,500g未満の低出生体重児は全体の9.4%を占めており、1,500g未満の極低出生体重児も0.7%存在する。低出生体重児は未熟児網膜症を発症するリスクがあり、成長後の視機能および認知機能に与える影響を定量的に評価する必要が高まっている。本研究では、低出生体重児の視覚皮質における機能的結合状態を、正期産児との比較によって検証する。脳機能計測には時空間解像度に優れるMEG(脳磁図)を用いて、定量的評価を行う。
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研究実績の概要 |
低出生体重児は未熟児網膜症のリスクが高く、出生直後に治療の対象とならなかった児童に対しても成長後の視機能および認知機能に与える影響を定量的に評価する必要がある。視覚系の入り口である網膜に対して、失明や重篤な視覚障害には至らない程度の微少なダメージが存在するときに、知覚や認知の安定性を保つために中枢で何らかの機能的補償が行われていると考えられる。近年の研究では、未熟児網膜症は網膜の血管の異常のみならず、網膜の各種細胞の構築や大脳皮質に至る視神経にも異常を生じさせる可能性があると指摘されている。ここから、低出生体重児と正期産児では、同じ量の光を受け取ったとしても視覚野での応答は異なる可能性がある。本研究では、低出生体重児の視覚における特徴を、正期産児との比較によって検証する。脳機能計測には時空間解像度に優れるMEG(脳磁図: magnetoencephalography)を用いて、定量的に評価する。網膜から一次視覚野への過少出力はVEF(視覚誘発磁場: visual evoked field)の初期成分における振幅減少・潜時延長を引き起こすことが想定される。そして、背側・腹側経路からのトップダウン信号が初期成分の弱さを補い、安定した視覚認知を成立させているという仮説を検証する。 MEGデータの取得時に用いた視覚刺激は、一般的に用いられている輝度コントラストからなるパターンリバーサル課題を幼児向けに改変したものを使用し、さらに赤と緑の色コントラスト条件を追加して視覚経路の違いを検証する。実験参加児のスクリーニングと、脳活動と視空間性認知機能との相関を検証するためのデータを取得し、色覚検査には石原色覚検査表IIコンサイス版14表を、知能検査にはK-ABC(Kaufman assessment battery for children)を用いる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成果報告に必要なMEGデータを取得完了し、MRI画像、色覚検査および知能検査の結果と合わせて解析を進めている。一次視覚野から四次視覚野が発生源と推定されるVEF(振幅・潜時)の群間比較を実施し、視覚領野間のネットワーク構造を相互情報量より推定する分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は解析の完了と、国際学会への参加および論文投稿を進め、研究を完了させる。
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