研究課題/領域番号 |
22K12758
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
井原 綾 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (30390694)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 言語理解 / 脳波 / 文脈 / 意味処理 / 自然発話 / 音声 / N400 / 脳機能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、連続的な自然発話を聴いて文脈を形成し理解するときの脳活動の経時的変化を明らかにし、さらに、文脈理解を反映する脳波指標を用いて、個人の脳波から文脈理解を推定可能な機械学習モデルを構築することを目的とする。そのために、日本語母語話者が連続的な自然発話を聴いているときの脳波から、発話全体における単語の位置に対する時間応答関数を算出し、各成分の振幅とピーク潜時を算出する。これら脳波指標の単語位置依存性を統計学的に明らかにし、発話開始から終了までの文脈利用に関する脳波応答の経時的変化を可視化する。さらに、個人の脳波指標から理解スコアを推定する機械学習モデルを構築する。
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研究実績の概要 |
日常、我々が耳にすることばは不完全な情報であることも多いが、迅速かつ柔軟にことばを理解することができる。脳がそれを実現しているのは、音響的特徴の抽出から言語情報への変換、意味表象の活性化、文構造の解析といった一連のボトムアップ処理に加えて、文脈や非言語的な情報の状況など様々な情報を利用して内容を解釈するといったトップダウン処理が働いているからである。これまで、言語の文脈処理に関する研究は、言語刺激を単語など短い単位で離散的に呈示するパラダイムが用いられており、話の進行とともに文脈が形成され、理解が進むときの脳活動を経時的に捉えた研究はない。本研究では、1)連続的な言語情報(発話)を聴いて文脈を形成し理解するときの脳活動の経時的変化を明らかにすること、2)文脈理解を反映する脳波指標を用いて、個人の脳波から文脈理解を推定可能な機械学習モデルを構築することを目的とした。昨年度は音声を聞いているときの脳波から内容語に対する脳波の時間応答関数(TRF)を算出し、約400msの陰性成分(N400相当)が序盤、中盤、終盤にかけて、振幅が減少する文脈効果を示すことを示した。今年度はこれまでと同じ内容の実験を実施して、データ数を増やし、20歳から78歳の被験者のデータを用いて、文脈効果の加齢の影響を調べた。序盤の振幅と比べて終盤の振幅が小さいという文脈効果が若年層ほど大きく、年齢が高いほど、終盤の潜時が遅れていた。これらの結果は、個人の脳波から文脈理解を推定するモデルに年齢の影響を考慮する重要性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度追加でデータを取得し、解析はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
抽出した指標を用いて、個人の脳波から文脈理解を推定する機械学習モデルの構築を行う。
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