研究課題/領域番号 |
22K12766
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岡久 稔也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (60304515)
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研究分担者 |
曽我部 正弘 徳島大学, キャンパスライフ健康支援センター, 教授 (60732790)
獅々堀 正幹 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (50274262)
中川 忠彦 島根県立大学, 看護栄養学部, 講師 (40634275)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 腹水濾過濃縮再静注法 / 発熱 / 施行条件 / サイトカイン / エンドトキシン |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、安全で有効な腹水濾過濃縮再静注法(CART)の施行を目指し、CART専用装置(M-CART)を開発し、培養細胞実験で、濾過濃縮時の水流が発熱の原因となるサイトカインを誘導し、ローラーポンプの物理刺激は誘導しないことを見出した。本研究では、発熱と①胸腹水中のサイトカイン濃度と蛋白質濃度、②胸腹水の処理条件、③ステロイド投与法との関係を検討して発熱機序を解明し、処理条件とステロイド投与法を最適化することによって、高い蛋白回収率が得られ発熱のない迅速なCART施行法を確立する。
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研究実績の概要 |
腹水濾過濃縮再静注法(CART)は、難治性胸腹水に対する安全で有効な治療法であり、今後の癌治療を支える重要な治療法として国内の施行件数は増加傾向にある。しかし、その施行方法は標準化されておらず、最も多い副作用である発熱の発生機序や予防法は明らかとなっていない。我々の開発したCART専用装置(M-CART、2018年)の登場以降、採取した胸腹水を一定の設定条件で全量処理することが可能となった。現在、発熱原因物質の産生抑制のために50 ml/min以下の低流量処理が推奨されているが、CARTの効果を高めるため多量の胸腹水が処理されるようになり、高流量処理による効率化が望まれている。CART施行時の発熱を検討する際には、処理前の胸腹水の性状、処理条件、処理後の腹水の再静注条件、患者の全身状態、発熱予防目的に投与されるステロイドなどの影響因子について総合的に検討する必要がある。そこで本研究では、発熱と①胸腹水中のサイトカイン濃度と蛋白質濃度、②胸腹水の処理条件、③ステロイド投与法との関係を検討して発熱機序を解明し、処理条件とステロイド投与法を最適化することによって、高い蛋白回収率が得られ発熱のない迅速なCART施行法を確立する。 令和5年度は、多施設臨床評価データの整理と分析を行い、処理流量と発熱との関係を明らかにした。その結果、検討した症例では、ステロイドの投与下ではあるが、処理流量は発熱の程度に影響を及ぼさないことが明らかとなった。また、腹水中のエンドトキシンも発熱に関与するが、その測定法が確立していない。そこで、迅速で正確な腹水中エンドトキシンの測定を行うため測定方法に関する検討も合わせて行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多施設臨床評価の追加分析により、腹水の濃縮条件(設定圧)が蛋白質の廃液中への漏出や回収液中への蛋白質の回収率に影響を及ぼすことが明らかとなった。また、検討した症例では、ステロイドの投与下では処理流量は発熱の程度に影響を及ぼすさないことが明らかとなった。 臨床検体のサイトカイン測定に関しては、測定費用削減のためにサイトカインの種類を限定した一括測定が望ましく、今年度は収集検体のうちの分的測定を行い、次年度に現在収集中の検体も加えた全ての検体の測定を行うこととなった。また、測定結果に影響を及ぼすエンドトキシンの測定法についても検討したため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の結果をもとに、臨床検体のサイトカイン濃度の測定を行う。また、異なる濾過濃縮条件(処理流量、目詰まり濾過器洗浄液の再処理の有無)と最適なステロイド投与条件でCARTを施行する前向きの臨床評価を行う。処理流量は、高流量処理(100 ml/min)と低流量処理(50ml/min)の2群を設定する。また、培養細胞を用いた様々な処理条件での模擬腹水実験の可能性について検討する。以上より、発熱(体温の上昇度)、他の副作用、蛋白回収率、時間(治療時間、濾過濃縮時間)、サイトカイン濃度(処理の前後、上昇度)、濾過圧の推移を評価して関連性を検討し、CART施行時の発熱機序をサイトカイン濃度と施行条件の観点から解明し、高い蛋白回収率が得られる発熱のない迅速なCART の施行法を確立する。
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