研究課題/領域番号 |
22K12772
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
善本 隆之 東京医科大学, 医学部, 教授 (80202406)
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研究分担者 |
溝口 出 東京医科大学, 医学部, 講師 (00569527)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 無針注射器 / 抗腫瘍ワクチン / アジュバントフリー / ワクチン / アジュバント |
研究開始時の研究の概要 |
最近、予備的実験より、火薬の燃焼エネルギーで駆動する新規の無針注入器(PJI)が、皮内へのDNA投与により、有針注射器より強力な抗腫瘍免疫を誘導することや、アジュバントを加えずに蛋白質投与のみでも、抗原特異的細胞性免疫を増強することも見出した。そこで、本研究では、モデル抗原および分子として卵白アルブミン(OVA)と免疫抑制性サイトカインIL-27を用い、OVAプラスミドDNA投与による抗腫瘍ワクチン効果、アジュバントフリーのOVA蛋白質投与による抗腫瘍ワクチン効果、さらには、IL-27プラスミドDNA投与による遺伝子治療への応用について、新規無針注入器の有効性とその作用機序を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、新規無針注射器PJIを用いてアジュバンドは加えずに蛋白質投与による抗腫瘍ワクチン効果の増強とその作用機序について検討を行った。 ①抗腫瘍ワクチン効果:エンドトキシンフリーのOVA蛋白質をPJIおよび通常の有針注射器を用いて皮内投与を行い、2週間間を空けて2度免疫1週間後に、所属リンパ節細胞を蛍光標識したMHCクラスI/IIのOVA peptideテトラマーと抗CD4/抗CD8抗体で染色しFACS解析を行った。その結果、有針注射器では殆ど誘導されないが、PJIによる投与では、ポジコンで用いたAlumと同レベルに強いOVA抗原特異的CD8+T細胞を誘導した。OVA抗原特異的CD4+T細胞の誘導は、有針でもPJIでも殆ど誘導されなかった。しかし、血中のOVA特異的抗体価もIgG1とIgG2aともに、PJIで増強され有針注射器では増強されなかった。さらに、そこへ、EG.7-OVA腫瘍を植えても、PJIを用いて投与するとAlumと同レベルに強い腫瘍増殖の抑制効果、つまり、ワクチン効果を示すことがわかった。 ②作用機序の解明:作用機序を調べるために、Alex647標識OVA蛋白質をマウスにPJIまたは無針注射器を用いて投与し、12時間後皮膚から細胞を調製し、24時間後にはリンパ節細胞を種々の抗体で染色し、Alex647標識OVA蛋白質がどの細胞に多く入っているかを調べた。その結果、PJIを用いて投与すると有針注射器に比べ、皮膚細胞およびリンパ節細胞で共にクロスプレゼンテーション能力が高い樹状細胞(DC)であるXCR1+MHC ClassII+CD11c+DCやCD205+MHC ClassII+CD11c+DCに、さらに、リンパ節細胞では、CD86+MHC ClassII+CD11c+DCに多く取り込まれていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、新規無針注射器PJIを用いてアジュバンドは加えずにDNA投与のみならず、蛋白質投与でも、強いCD8+T細胞を介したワクチン効果を誘導することが明らかになってきているので。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、新規無針注射器PJIを用いてアジュバンドは加えずに蛋白質投与による抗腫瘍ワクチン効果を増強する作用機序の検討と、さらに、mRNAワクチンの増強作用についても検討する。 ①蛋白質投与による抗腫瘍ワクチン効果増強の作用機序:昨年度までの検討より、クロスプレゼンテーション能力の高いDCに取り込まれ、DCの成熟マーカーCD86発現も増強されていたので、DAMPsの関与が考えられる。さらに、最近、PJIの火薬爆発による強力な推進力によりシェアストレスが発生し、さらに、シェアストレスがHigh mobility group box 1(HMGB1)発現を誘導しDCの成熟化を誘導する可能性も示唆された。そこで、PJIでOVA蛋白質投与後、皮膚より蛋白質溶解液を調製し、ウエスタンブロット解析により、HMGB1発現の増強や細胞質と核に分離し細胞内の局在を調べる。次に、HMGB1の阻害剤であるグリチルリチンをPJI投与前に投与し、OVA抗原特異的CD8+T細胞の誘導能や抗腫瘍効果へのHMGB1の関与を検討する。 ②mRNAワクチンの増強作用:COVID-19 mRNAワクチンの副作用の原因として、Pseudouridineを用いて炎症を軽減したmRNAのワクチン効果を増強するために用いたLipid nanoparticle(LNP)の炎症誘導作用が考えられている。そこで、OVAをモデル抗原として通常のUridineおよびPseudouridineを用いて作製したOVA mRNAを用いて、LNPの代わりにPJIで投与し、OVA特異的CD8+T細胞誘導の割合や、皮膚局所よりRNAを抽出しリアルタイムRT-qPCRおよび血清でのELISAより炎症マーカーであるTNF-aやIL-6の発現を比較検討し、PJIを用いて副作用である炎症誘導能が低いがワクチン効果が高い結果が得られないか検討する。
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