研究課題/領域番号 |
22K12800
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
須加 実 富山大学, 学術研究部工学系, 講師 (10262502)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 誘電泳動 / 絶縁体 / トラックエッチドメンブレン / 細孔 / 生死分離 / 交流電界 / 微細孔膜フィルタ / 細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
バイオや医療の分野では,生きた細胞だけを選択的に分離する技術が求められている。そこでマイクロ流体デバイスと誘電泳動を用いた生死分離が試みられているが,精度も処理量も不十分で実用的でない。本研究では,新規に電気絶縁性の円錐台型微細孔付の膜フィルタをもつ誘電泳動デバイスを設計製作し,生死の分離精度と処理量の大幅向上を目指す。このデバイスの特徴は,微孔内に不均一電界を形成することで生細胞だけを吸引吐出し高精度で連続的に分離でき,またフィルタ面積を増やすことで容易に大量処理が可能となる。この技術は医療分野,製薬分野,バイオ分野など細胞を用いる関連産業へ広く貢献できる。
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研究実績の概要 |
バイオや医療の分野では,生きた細胞だけを選択し分離する技術が求められている。これに対しマイクロ流体デバイスと誘電泳動を組み合わせた生死分離システムが試みられているが,分離の精度も処理量も不十分で実用的でない。本研究では,新規に電気絶縁性の円錐台型微細孔付の膜フィルタである誘電泳動デバイスを設計製作し,生死分離の精度と処理量の向上を目指す。このデバイスの特徴は,孔内に不均一電界を形成し生細胞だけを吸引吐出し高精度で連続的に分離しようとするものである。誘電泳動とは,細胞の誘電的性質の違いによって電界強度に依存して移動する現象であり,これによって生細胞と死細胞を違う方向に移動させ分離することができる。 令和4年度は,円筒型貫通孔を有する市販のトラックエッチドメンブレンを用いて,バッチ式の絶縁体ベース誘電泳動デバイスを製作した。このデバイスを用い,細胞懸濁液の導電率や印加周波数などの電気的条件を検討することで,電界の強い孔内へ生きた酵母細胞のみ選択的に吸引捕捉が可能であることを明らかにした。また,このとき死んだ酵母細胞は電界の弱い方へ移動するため孔から離れ捕捉されないことも確認した。また,孔を貫通して細胞を効率的に吸引・吐出するためには,孔内に最適な不均一電界を形成する必要がある。そのため有限要素法解析ソフトウェアを用いて細孔形状に対する電界分布を計算し,実際に加工した形状での実験結果と比較検討して孔形状の最適化を行った。 令和5年度は,円筒型貫通孔を有する市販のトラックエッチドメンブレンを用いて,新たにフロー式の絶縁体ベース誘電泳動デバイスを製作した。この流路デバイスを用い,流量や印加電圧などの条件を検討することで,連続的に電界の強い孔内へ生きた酵母細胞のみ選択的に吸引捕捉が可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
市販の円筒型貫通孔を有するトラックエッチドメンブレンを用いたフロー式の誘電泳動デバイスを作成し,連続して生細胞を捕捉できることを確認できた。このフロー式誘電体デバイスを用いて,流量や印加電圧条件などの最適化を進めている。また同時に,円錐台型の細孔形状を最適化した膜フィルタの作製を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
最適化した円錐台型の細孔形状を有する膜フィルタを用いて,まずバッチ式誘電泳動デバイスを完成させ分離精度などを検討する。 さらにその膜フィルタを用いたフロー式誘電泳動デバイスを製作し,細胞分離の連続処理化を目指す予定である。
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