研究課題/領域番号 |
22K12806
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
中瀬古 寛子 東邦大学, 医学部, 准教授 (80408773)
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研究分担者 |
松本 紋子 東邦大学, 理学部, 准教授 (60444519)
永澤 悦伸 東邦大学, 薬学部, 准教授 (40513057)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 弛緩機能障害 / 抗がん薬 / チロシンキナーゼ阻害薬 / ヒトiPS細胞由来心筋細胞 / QT延長 / 心筋弛緩障害 / 薬物誘発性 / 弛緩障害 / 心毒性 / 評価系 |
研究開始時の研究の概要 |
心不全患者の半分を占める駆出率の保たれた心不全は左室の拡張不全を原因とするが、治療方法は確立していない。一方高齢化するがん患者は“がん”を含め複数のHEpEFリスク因子を持ち、抗がん薬も生体心の能動的弛緩能を障害することが実験的に示された。そこで抗がん薬による薬物誘発性弛緩障害をより簡便に検出するため、抗がん薬投与下におけるヒトiPS細胞由来心筋細胞(ヒトiPS心筋細胞)の細胞シートを用いた収縮弛緩運動とラット心臓ミトコンドリアの呼吸鎖複合体のATP合成能やスーパーコンプレックス形成の変化を検出し分析することにより、薬物誘発性弛緩障害の評価系の特徴づけと確立を行う。
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研究実績の概要 |
ヒトiPS心筋細胞シートを作成し、電気的ペーシング下における興奮伝導(細胞外電位測定)、収縮弛緩運動(モーションベクトル解析)、細胞内Ca動態(蛍光指示薬)の変化を抗がん薬の処理下で解析した。2022年度に引き続き、抗がん薬として、チロシンキナーゼ阻害薬であるラパチニブ、ソラフェニブ、スニチニブを用いて測定を行った。一方、ニロチニブが誘発した早期後脱分極(EAD)が、心筋細胞シート1拍ごとの細胞内Ca動態と電気生理学的指標の変動にどのような影響を与えるか測定し、生体における致死性多型性心室頻拍(トルサードポアンツ)の生成条件との相関を考察した。その結果、電気ペーシング下で、EADが1拍ごとに交互に出現するような条件におくと、伝導速度の変動や先行する拡張期時間に対する再分極時間の変動が大きくなり、トルサードポアンツ発生に寄与する一部の条件を満たすことが示された。並行して、ラット心臓ミトコンドリアの膜タンパク質を用いてATP合成酵素活性を測定したところ、複数のチロシンキナーゼ阻害薬の投与で活性低下が認められた。また、hrCN-PAGEを用いたゲル内ATP合成酵素活性染色により検討したところ、それらのチロシンキナーゼ阻害薬ではATP合成酵素のオリゴマー形成が抑制されていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニロチニブの結果に関して投稿論文を準備している。
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今後の研究の推進方策 |
複数のチロシンキナーゼ阻害薬のラットミトコンドリアへの作用とヒトiPS心筋細胞シートの興奮伝導(細胞外電位測定)、収縮弛緩運動(モーションベクトル解析)、細胞内Ca動態(蛍光指示薬)の変化との相関解析を引き続き行う予定である。
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