研究課題/領域番号 |
22K12814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
根岸 淳 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (60722634)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 細胞外マトリックス / 脱細胞化組織 / 軟骨内骨化 / 細胞導入 / CIP成型 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類のほとんどの骨は、胎児期に軟骨内骨化と呼ばれる工程を経て軟骨から骨が形成される。現在、骨移植可能な強度と軟骨内骨化による骨形成を両立する人工骨はない。 本研究では、軟骨内骨化が盛んな胎児ブタおよびシカ角を原料とする細胞外マトリックス粉末を作製する。さらに、静水圧によって粉体をブロック化するCIP成型を用いて、細胞外マトリックス粉末をブロック化した新規人工骨の開発に取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究では、軟骨内骨化による骨形成が盛んなブタ胎児骨組織(骨、軟骨、骨髄)およびシカ角組織から細胞を除去した脱細胞化組織を作製し、特性解析に取り組んだ。 高静水圧法を用いて成体ブタと胎児ブタの骨組織を脱細胞化し、凍結乾燥および破砕処理を行い脱細胞化組織粉末を作製した。脱細胞化組織粉末の含有タンパク質をSDS-PAGEで解析し、脱細胞化成体ブタ軟骨と脱細胞化胎児ブタ軟骨では構成タンパク質の組成が異なることを明らかにした。脱細胞化シカ角の作製において、実験動物や家畜ではないシカ角の入手経路の確立に取り組み、駆除したシカの角を研究用に提供していただくことができた。 脱細胞化組織粉末の生理食塩水抽出物による骨細胞分化試験を行い、脱細胞化成体ブタ軟骨群と脱細胞化胎児ブタ骨組織群で脂肪由来幹細胞のアルカリフォスファターゼ活性の上昇が認められ、脱細胞化組織粉末によって骨分化が促進されたことが明らかになった。また、脱細胞化組織粉末含有コラーゲンゲル内での脂肪由来幹細胞の3次元培養では、脱細胞化胎児ブタ軟骨群でアリザリンによる染色が認められ、骨の細胞外マトリックスが産生されたことが明らかになった。 以上から、成体ブタ軟骨および胎児ブタ骨、軟骨および骨髄の細胞外マトリックスに軟骨内骨化を誘導する因子が存在する可能性が示唆された。特に、胎児ブタ軟骨に軟骨内骨化を強く誘導する因子が含まれていることが見出された。 また、脱細胞化組織粉末から多孔質ブロックの作製に取り組み、加圧成型法を用いることで脱細胞化組織をブロック化する手法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、成体ブタと胎児ブタの脱細胞化骨組織の骨分化誘導を比較解析し、脱細胞化胎児ブタ骨組織が高い骨分化誘導能を有することを明らかにした。また、脱細胞化シカ角組織の作製に取り組み、実験動物や家畜ではない哺乳類からの脱細胞化組織作製の体制を整えてた。さらに、次年度に実施予定だった多孔質ブロックの作製を前倒しで実施し、加圧成型法に依るブロック条件を確立しており、本研究がおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度に確立した脱細胞化組織粉末由来の多孔質ブロックへの骨細胞スフェロイドの導入および培養試験による骨形成能解析に取り組む。種々の脱細胞化組織粉末のブロックを比較解析することで、軟骨内骨化を誘導する材料の開発に取り組む。
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