研究課題/領域番号 |
22K12829
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
古薗 勉 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (30332406)
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研究分担者 |
東 慶直 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (90333509)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ハイドロキシアパタイト / 酸化チタン / ナノ粒子 / チタン / 抗菌性 |
研究開始時の研究の概要 |
在宅人工臓器治療(在宅透析・補助人工心臓)を推進する上で懸念されるのがデバイス感染症である。本研究課題では、生体親和性と抗感染性の相反する機能の両立を目指した新規ナノ材料の開発を行うことを目的とする。具体的には、生体親和性に優れるハイドロキシアパタイト(HAp)に触媒活性を付与したチタンイオン置換型HApナノ粒子、さらに触媒活性を高めた酸化チタンHApハイブリッドナノ粒子の製造技術の創出、およびナノスケール界面コーティングを可能とする新規な抗感染性ナノ粒子・高分子複合材料を開発する。我が国で問題視されている耐性菌発現を解消するために、本新規技術は革新的基盤技術となり得る。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、生体親和性と抗感染性の相反する機能の両立を目指した新規ナノ材料の開発を行うことを目的とする。具体的には、触媒活性を高めた酸化チタン(TiO2)/HApハイブリッドナノ粒子の製造技術の創出、およびナノスケール界面コーティングを可能とする新規な抗感染性ナノ粒子・高分子複合材料を開発する。詳細な物性および生物学的評価を行うことにより生体親和性と抗感染性が最適化されたナノ粒子の選定を行い、抗感染性デバイスコーティング用ナノ粒子としての有用性を明らかにすることを目的とする。 本研究課題の2年目では、800度で仮焼することでTiO2/HApハイブリッドナノ粒子の合成が可能となった。そのTiO2含有率は、Tiイオン仕込み比20%(Ti(20)-HAp/TiO2)および30%(Ti(30)-HAp/TiO2)でTiO2を2.2および4.8wtであった。X線回折より含有TiO2はアナターゼ型であった。また動的光散乱法により、Ti(20)-HAp/TiO2およびTi(30)-HAp/TiO2ナノ粒子で、粒子径はそれぞれ215.4±28.0および257.8±70.0nmであった。コントロールのアナターゼ型TiO2、Ti(30)-HAp/TiO2、Ti置換HAp(Ti(30)-HAp)およびTiを含まないノーマルHAp(nHAp)のバンドギャップエネルギーは、アナターゼ型TiO2<Ti(30)-HAp/TiO2<Ti置換HAp(Ti(30)-HAp)<nHApの順となった。色素分解性試験より、Ti(30)-HAp/TiO2ナノ粒子はコントロールのTiO2には及ばないが十分な光触媒活性を有していた。ポリ乳酸シートの表面を加水分解によりイオン化させることにより、当該ナノ粒子コーティングシートの調製が可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験条件、特に仮焼温度を検討することにより、目的材料であった酸化チタンが析出し、そしてチタンイオンが一部カルシウムサイトに固溶したハイブリッドハイドロキシアパタイトナノ粒子を調製した。X線回折法、フーリエ変換赤外分光法、動的光散乱法など、種々の分析方法を用いてそのナノ粒子のキャラクタリゼーションを実施した。得られたナノ粒子を用いて、光触媒特性を比較検討することにより、目的物質の合成に成功したことを明らかにした。 また、デバイスコーティングには高分子基材へのコーティングが必要である。モデル高分子基材としてポリ乳酸を選択し、表面をイオン化することで調製したナノ粒子のコーティングが可能となった。 以上のことから、今後の進展に期待が持てる状況に至っている。
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今後の研究の推進方策 |
外部からの物理刺激(本検討では光照射)の条件によっては、生体にとって活性酸素などの発生は不都合となる場合がある。 そこで、得られたハイブリッドナノ粒子を用いて、in vitroの条件下でいかなる実験条件であれば、細胞毒性を低減させつつ、抗菌性を発現させることができるかがキーとなる。その両立性を担保可能な実験条件を探索する必要がある。具体的には、細胞種、細胞数、培養条件の検討、また細菌種、細菌数、培養条件等の検討、加えて物理刺激の方法などの検討も重要となる。 以上のことを踏まえて、実験を進める上での課題を検討しながら、研究を推進していく。最終的に、当該ハイブリッドナノ粒子を用いて、抗感染性デバイスコーティング用ナノ粒子としての有用性を総括する。
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