研究課題/領域番号 |
22K12830
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
神吉 けい太 岡山理科大学, 生命科学部, 教授 (10516876)
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研究分担者 |
岩井 良輔 岡山理科大学, フロンティア理工学研究所, 准教授 (60611481)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 軟骨細胞 / 細胞死 / 立体組織 / 細胞分化 / 細胞死抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
体外立体組織は再生医療や創薬分野で注目されているが、脈管系の内装を伴わない限り酸素、栄養、老廃物の代謝が滞り、細胞凝集体は細胞死を起こし死んでしまう。したがって脈管系構築までの期間、構成細胞の生存率を高める技術が必要である。本研究では、細胞内エネルギー代謝の改変やや細胞保護剤の利用により、低栄養・低酸素の環境でも細胞を生存させる技術を開発し、機能性大型組織構築、細胞移植効率の向上、脈管系内装組織構築への応用を目指す。
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研究実績の概要 |
体外で細胞の集合体である組織や臓器を作り出す組織工学は、再生医療や創薬をはじめ幅広い分野での応用が期待されている。立体組織構築の問題として、脈管系の内装を伴わない細胞凝集体は酸素、栄養、老廃物の代謝が滞り、細胞死を起こしてしまうことが挙げられる。したがって脈管系構築までの期間、構成細胞の生存率を高める技術が組織工学分野におけるブレークスルーとなる。 本研究では細胞内エネルギー代謝の改変により、低栄養、低酸素の環境でも細胞を生存させる機構を利用し、細胞凝集体内の細胞死を回避することでより生存率の高い細胞凝集体を創り出すことを目的としている。 研究代表者はこれまでにポリフェノールのひとつであるレスベラトロール(RSV)が、筋芽細胞においてグルコース欠乏による細胞死を抑制する効果を見出している。R4年度はラット軟骨細胞を用い、RSV前処理が低グルコース環境における細胞死を抑制することを明らかにした。この効果は解糖系抑制によるグルコース消費の削減効果であることが確かめられた。またRSV処理は軟骨分化マーカーであり、軟骨基質を構成するCOL1A1, COL2A1の発現を有意に増加させた。 R5年度はRSV前処理により軟骨細胞立体組織の細胞生存と組織サイズを高める効果の実証に取り組んだ。RSV前処理後に細胞を球状凝集塊(スフェロイド)にまとめ、一定期間は培養後に切片を作成し細胞生存と細胞死を評価したところ、RSV前処理群では対照群に比べ有意な細胞生存の増加と、細胞死の減少が確認された。またこのような高生存率スフェロイドを軟骨組織へと分化させた結果、中心部の壊死していない充実した軟骨組織が出来上がった。したがって研究課題に掲げるハイバイアビリティ細胞凝集体(High viability-cell aggregate; HV-CA)を作製することができた。現在学術論文として投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軟骨細胞においてRSVによる細胞死抑制効果を平面培養で確認し、そのメカニズムとして解糖系抑制によるグルコース消費の削減効果を示した。さらに立体組織内部における細胞生存の向上と、軟骨組織分化の促進効果も実証できた。一方で間葉系幹細胞を使った検討や、共同研究者の担当する血管系の内装などは今年度から着手する予定である。おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度は軟骨細胞で確立されたハイバイアビリティ細胞凝集体(HV-CA)作製技術を論文発表するとともに、この技術を間葉系幹細胞(MSC)に応用し、多分化能を持ったMSC-HV-CAを作出することに注力する。具体的には脂肪細胞分化や筋細胞分化などの技術を合わせることで機能性の立体組織を作り出すことに挑戦し、本技術の汎用性の拡大を目指す。特に筋細胞においては共同研究者とともに腱や血管といった要素を含んだ複合型筋組織の構築も検討する。
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