研究課題/領域番号 |
22K12832
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
永田 夫久江 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 総括研究主幹 (00357633)
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研究分担者 |
李 誠鎬 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (20850001)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ナノ粒子 / アパタイト / ポリ乳酸 / コアシェル / ドラッグデリバリーシステム / DDSキャリア |
研究開始時の研究の概要 |
ウイルス性感染症では、感染免疫応答の暴走が重症化の一因として問題となっており、炎症性サイトカインの発現を局所で制御する技術が重要である。本研究では、局所での免疫応答を制御する薬剤送達技術実現に向けたナノキャリア粒子を開発する。具体的には、申請者らが有するアパタイトナノ粒子合成技術を駆使し、抗炎症性薬剤をナノ粒子へ担持する機能と適切に薬剤放出する機能および受容体認識機能を付与する粒子設計を行い、炎症性サイトカインの発現制御を可能にする薬剤送達技術実現に向けた基盤技術を確立する。
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研究実績の概要 |
本課題では、申請者らが開発した「アパタイトをシェル(殻)としポリ乳酸をコア(核)とするコアシェル型ナノ粒子(バイオコアシェル粒子)」を用い、局所での免疫応答を制御する薬剤送達実現に向けた基盤技術確立を目指している。本年度は、バイオコアシェル粒子を細胞に添加した際の、細胞生存性および細胞障害性に及ぼす影響を検討した。比較として、市販の細胞送達試薬と無機の薬剤送達担体として報告の多いシリカ粒子を用い、これら従来の送達担体との比較で、バイオコアシェル粒子の細胞に対する安全性を評価した。培養したHeLa細胞に、バイオコアシェル粒子、市販送達試薬、シリカ粒子、3種の被検物質を0-500 ug/mLの濃度で添加し、24時間培養後の細胞生存率を測定した。市販送達試薬を添加した細胞は、10 ug/mLの濃度で細胞生存率が約50%となり、シリカ粒子を添加した細胞は、250 ug/mLの濃度で細胞生存率が約50%となったのに対し、バイオコアシェル粒子を添加した細胞は、500 ug/mLの濃度でも細胞生存率100%を維持した。バイオコアシェル粒子の細胞に対する安全性を明らかにした。また、細胞が障害を受けた時に放出される乳酸脱水素酵素量を定量する細胞障害性評価において、シリカ粒子では100 ug/mLの濃度から有意に細胞障害性が増大したのに対し、バイオコアシェル粒子では500 ug/mLの濃度まで細胞障害性に有意な差はみられなかった。これらの結果から、バイオコアシェル粒子は細胞生存率や細胞障害性に影響を及ぼさない安全な粒子であり、細胞に薬物を送達する担体として優れていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バイオコアシェル粒子への薬剤内包に成功したことに続き、本年度は、バイオコアシェル粒子の細胞に対する安全性として、細胞生存性および細胞障害性を評価した。細胞生存性と細胞障害性のどちらの指標についても、バイオコアシェル粒子の高い安全性を示した。担体の安全性は、薬剤輸送担体として重要な要素であり、バイオコアシェル粒子は細胞への薬剤輸送担体として有望であることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
抗炎症薬内包バイオコアシェル粒子を細胞に添加した時の、炎症性サイトカインの遺伝子発現量をPCRにより評価する。また、ペプチドを用いた特異的結合に関する知見を得るために、ペプチドの配列設計を行い、バイオコアシェル粒子との結合と特異的結合を両立するペプチド配列を探索する。さらに、受容体へのバイオコアシェル粒子の特異的結合を確認する。
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