研究課題/領域番号 |
22K12834
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
平田 慎之介 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (80550970)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 造影超音波 / マイクロバブル / 超解像イメージング / 非線形エコー / 符号化パルス圧縮 / 超解像定位・イメージング / パルス圧縮 / 超解像定位 |
研究開始時の研究の概要 |
医用超音波画像における脈管(血管・リンパ管)の描出では、管内を流れるマイクロバブル(直径数μm程度の気泡)を利用することで、より鮮明に描出すること(超解像イメージング)ができる。ただし、マイクロバブルを破壊しない程度の弱い超音波を使用しなければならず、体表面から遠い位置(深部)にある脈管は背景雑音に埋もれてしまい、描出することができない。本研究では、単極符号化パルス圧縮という信号処理技術を適用することで、背景雑音を大幅に低減し、深部にある脈管も描出可能にする手法について検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では,本来は使用する超音波の周波数(波長)によって制限される超音波画像の空間分解能を大幅に向上させる技術である超解像イメージングを,日本国内で使用されている超音波造影剤Sonazoidを用いて実現すること,そして超音波造影剤から発生する非線形な超音波エコーにも適用することができる単極符号化パルス圧縮を用いて超解像イメージングの高感度化を実現することを目的としている. 2023年度は主にSonazoidを用いた超解像イメージングの実現について検討を行った.超音波造影剤とは,高強度かつ非線形な超音波エコーを発生させる微小気泡(マイクロバブル)を含む懸濁液で,エコーの発生源である散乱体の少ない血管内のコントラストを向上させる造影超音波イメージングのために投与される.そのため,実際の検査で投与されるSonazoidの懸濁液には大量のマイクロバブルが含まれている.超解像イメージングは血管内を単独で移動するマイクロバブルの定位・追尾によって実現されるため,懸濁液を十分に希釈して投与する必要がある.そこで,投与前や希釈後の懸濁液に含まれているマイクロバブルや実験で使用する微小流路内を移動するマイクロバブルの計数を血球計算盤や超音波画像から行うことで,適切な希釈倍率を決定した.続いて,超音波画像中に単独で存在するマイクロバブルの検出とその中心位置の推定を行うアルゴリズム,連続的に撮像された超音波画像間でマイクロバブルの中心位置を追尾するアルゴリズムをそれぞれ開発し,水中に配置した微小流路に対するSonazoid超解像イメージングを実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は,希釈していない通常のSonazoidを用いた造影超音波イメージングにおいて,単極符号化パルス圧縮の適用と信号対雑音比(SNR)の評価を行った.計測可能深度を決定する背景雑音に関しては,送信したパルス列(bit数)から見積もれる理論的な低減効果が確認された.しかしながら,研究開発用超音波診断装置の性能により,各パルスの振幅が一定ではなかったため,血管内のコントラストが僅かに低下し,SNRに関しては理論的な値ほどは向上しなかった.2023年度は,適切に希釈したSonazoidを用いた超解像イメージングを実現し,微小流路内の速度ベクトルの算出や流れ方向の異なる微小流路の弁別などが可能となった.微小流路が超音波画像(断層像)中を走行する状況では,高分解能なイメージングおよび高精度な計測を行うことが可能であったが,それらに空間的なズレが生じる状況では,マイクロバブルの追尾が困難であった.
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今後の研究の推進方策 |
実施予定の動物実験へ向けて,まずは2023年度から検討を始めている3次元画像における超解像イメージングを実現する.2次元画像におけるマイクロバブルの定位・追尾アルゴリズムの転用と3次元画像に対して開発しているアルゴリズムの比較検討,空間情報の表示方法に関する検討などを行い,ラット血管を対象とした検証実験を実施する.そして、in vivoでの超解像イメージングにおける単極符号化パルス圧縮の有用性や将来的な臨床実験への展望など本研究の総括を行う。
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