研究課題/領域番号 |
22K12839
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
戸田 英樹 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (10520687)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 人工呼吸器 / 機械式 / 躍度微細圧力制御 |
研究開始時の研究の概要 |
躍度レベルの微細圧力制御を利用した機械式人工呼吸器開発の目的は,従来市販人工呼吸器が利用している定圧空気ポンプの代わりに,機械式押し込みパッドを精緻に動かして,人間が手でアンビューバッグを動かすように機械に人の手の代わりをさせるタイプの人工呼吸器を開発することにある. はじめに2019年末にMITで基礎開発が行われた簡易機械式人工呼吸器(MIT式)の完全な再現を行う.その後,圧力を躍度レベルで細かく監視しながら常時正確な圧力制御を継続し,バッグの特性変化や肺の状態に対して,何日連続利用しても安定して動く機構を作る.最終目標は,医師の労を少しでも減らす実用レベルの機械式人工呼吸器の完成を目指す.
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研究実績の概要 |
今年度は,長時間の駆動安定性を検証することを中心に研究を行った.主たる目標として,(1) 主に3Dプリンタで出力された部品の耐久性試験.(2) バッテリ駆動を想定するため,消費電力の計測試験.(3) 気体流量を利用した新しい呼吸補助方式の模索試験,を中心に研究を行った. (1)において,パッド部分については3Dプリンタ素材を利用した構造でも長期間(数年の単位)で不具合は発生せず,パッドを支える軸は金属かアルミである必要があり,本提案機構の肝となる構造となった.(2)において,マキタの建設現場で利用されているバッテリーを組み込む事で,どれくらいの使用が可能かを検証する実験を行った.従来の人工呼吸器は基本700W程の消費電力を常時利用するため,停電時に利用できない問題があるが,提案機構は必要な圧力,呼吸数を維持するのに,平均3Wで稼働し,マキタのバッテリ一(18V,6 Ah)1つで,1晩の稼働が可能であった.(3)において,従来の人工呼吸器にも使われている気体流量計は,3割ほどの流量値のずれがあることがわかり,これを補正する手法について現在検討中である.また,別の流量センサの方式を模索もしている. それぞれにおいて重要な実験結果を得ることが出来,国際学会にて研究発表を行った. 主な成果として,国内学会2件,国際学会7件,国内学会受賞1件,国際学会受賞2件となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としていた(1)の耐久性試験,(2)消費電力の計測試験,(3)気体流量を利用した新しい呼吸補助制御方式についてそれぞれ順調に研究を進めることが出来,それぞれの結果について発表をおこなった.
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今後の研究の推進方策 |
バックバルブマスクには内部に逆支弁が組み込まれており,圧力制御を精密にすればするほど,逆支弁の影響が大きくなるということが分かってきており,圧力センサをマスク内とアンビューバッグ内の両方に配置して圧力差を常時計測することによって目的の安定性を得る方法を模索する.また,新しく導入した流量計を利用し,呼吸量をリアルタイムに計測しながらアンビューバッグの押し込み制御を行う手法を現在検証中である.どちらの方策がよいか現時点では未知であるが,通常の人工呼吸器では圧力・流量ともにリミッターとしての役割しか持たないため,本手法の開発が進めば,患者にやさしい呼吸がしやすい機構となる可能性が高いはずである.
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