研究課題/領域番号 |
22K12844
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
山崎 文靖 高知大学, 医学部附属病院, 特任教授 (10243841)
|
研究分担者 |
弘田 隆省 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10437741)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 圧受容器反射系 / 動脈圧 / 反応速度 / ランダム起立負荷 / 自律神経遮断 |
研究開始時の研究の概要 |
交感神経圧受容器反射系の機能は、血圧に対する外乱を「大きく」「速く」減少させることである。いかに「大きく」に関しては、最近、ヒトで薬物的に交感神経系を遮断する方法を用いて起立による外乱に対する減少率が 1 / 6.6 になることを報告した。しかし、いかに「速く」についてはヒトでの報告は見られない。そこで、ランダムに起立負荷を行い、起立角度から血圧までの伝達関数を算出することで血圧低下までの時間を計測する手法を用い、いかに「速く」 圧受容器反射系が血圧に作用しているかを検討する。また、この方法を用い重症起立性低血圧の血圧低下状態を評価する実験的臨床研究を行う。
|
研究実績の概要 |
交感神経圧受容器反射系の機能は、血圧に対する外乱を「大きく」「速く」減少させることである。いかに「大きく」に関しては、最近、ヒトで薬物的に交感神経系を遮断する方法を用いて起立による外乱に対する減少率が 1 / 6.6 になることを報告した。しかし、いかに「速く」についてはヒトでの報告は見られない。そこで、ランダムに起立負荷を行い、起立角度から血圧までの伝達関数を算出することで血圧低下までの時間を計測する手法を用い、いかに「速く」 圧受容器反射系が血圧に作用しているかを検討する。また、この方法を用い重症起立性低血圧の血圧低下状態を評価する実験的臨床研究を行う。3年間の実験的臨床研究により、1) 圧受容器反射系を薬物遮断下でランダム起立負荷を行った例での血圧応答速度の標準化 2) 起立性低血圧症例での応答速度の計測と重症度との関係の評価を到達目標とする。 R4年度は、①倫理委員会への変更申請の準備、②薬物遮断下でランダム起立負荷を行った例での応答速度の解析を行った。 倫理委員会への申請が遅れているものの、15例の薬物負荷データの解析により、無投薬、副交感神経遮断、交感神経遮断それぞれの反応時間を計測した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
倫理委員会への申請が遅れている。 R4年度は、①倫理委員会への変更申請の準備を行った。今回は承認済みである過去のデータを用いて解析した。それ以降の症例の解析には倫理委員会に変更申請し承認を得、対象患者を抽出する予定である。②薬物遮断下でランダム起立負荷を行った例での応答速度の解析を行った。15例の成人男性を対象に検討を行った。対象者は臥位で、JENTOWおよび心電図プローブを装着し連続血圧と心電図を、またベッドの角度をPCに記録した。5分間の安静臥位後、無投薬、副交感神経遮断(atropine, 0.04mg/kg)、交感神経遮断(trimethaphan, 100mg/kg/min)、で0-30度のランダム起立負荷をそれぞれ10分行った。また、安静臥位およびそれぞれの負荷直後に静脈血圧を採血し、カテコラミン値を解析した。 ランダムに変化させたチルト角の時系列をx(t)、血圧変動の時系列をy(t)とする。それぞれのフーリエ変換したものをX(f)、Y(f)とする。伝達関数H(f)は、H(f)=X(f)*・Y(f)/|X(f)|2により得られる。ここでX(f)*は、X(f)の共役複素数である。H(f)の逆フーリエ変換により得られたインパルス応答関数の時間積分によりステップ応答を求める。求められたステップ応答関数より、血圧定常状態までの時間を応答速度として計測する。ここで、ステップ応答関数の最終点(128秒時点)の定常状態を-1に設定するように解析を変更し、定常状態前までの時間を反応時間として計測した。無投薬、副交感神経遮断、交感神経遮断それぞれの反応時間は19±4秒、34±7秒、63±11秒であった。
|
今後の研究の推進方策 |
R4年の結果をもとに、カテコラミン値の評価を行う。倫理委員会の承認後、患者群での解析評価を開始する。約200回分の起立性低血圧患者のランダム起立負荷のデータをすでに取得済みで、このデータを用い上記の解析を行う。小児のデータも含むため、小児の起立不耐症における圧受容器反射機能の解析も行う。ランダム起立負荷のデータでの解析結果を、無投薬、副交感神経遮断、交感神経遮断のそれぞれの反応時間である19±4秒、34±7秒、63±11秒と対比し、起立性低血圧に関与する圧受容器反射障害の重症度を評価する。また、これらの解析データと患者の症状および臨床所見を対比させ、重症度評価が可能どうかを検討する。
|