研究課題/領域番号 |
22K12852
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
林 直樹 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (00549884)
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研究分担者 |
安井 啓祐 藤田医科大学, 医療科学部, 講師 (50804514)
浅田 恭生 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (60308848)
森 慎一郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, グループリーダー (60415403)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 赤外線深度 / 体表面監視 / キャリブレーション / 放射線治療 / マルチモダリティ / マルチカメラシステム / End to End試験 / 熱追跡 / シンチレーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、三次元レーザスキャン技術と可視光解析・温熱感知機能を統合させた新しい体表面監視装置を開発し、臨床応用を目指すことである。このシステムの最大の利点は着脱可能で複合的モダリティに対応し、同軸スケール(Online座標系)での位置監視ができることである。このシステムの機能により手術や術中照射での非接触治療計画・照射中監視や、シンチレーション現象を活用した神経機能分析法への応用が期待される。当該研究期間では臨床研究へ向けた前段研究として、計算処理速度の向上、座標スケール連携性の確保、カメラ追加による三次元認識性能の向上、可視光分析機能の追加を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、三次元レーザスキャン技術と可視光解析・温熱感知機能を統合させた新しい体表面監視装置を開発し、臨床応用を目指すことである。開発予定の体表面監視装置の特徴は、① 三次元レーザスキャン技術のため、治療室内の明度に検出精度が依存しないこと。② サーモグラフィ機能を用いた体熱追跡により、固定具や被服上からも監視できること。③ 可搬性に優れ、CT撮像や治療時のみならず、手術時や温熱療法時にも応用可能なこと。④任意位置での座標校正を実現し、異なるモダリティであっても同軸座標評価が可能なこと。⑤可視光を分析することにより、シンチレーション現象の検出が可能となること。という点である。これらの点を達成するために、2022年度までにマルチモダリティ間での座標校正、体表監視信号と熱追跡信号との融合、モーション解析と追跡技術の開発について実施した。この経過を受け、2023年度は2022年度に完遂できなかった体表監視信号と熱信号との融合、マルチモダリティ間での座標校正評価用ファントムの開発、複数カメラによるオブジェクトの検出について研究、開発を行った。そしてこれらの研究成果の一部は、第65回米国医学物理学会学術大会(2023年7月、ヒューストン)、第126回日本医学物理学会(2023年9月、広島)において発表を行った。 複数台カメラによるオブジェクトの検出に関しては、2台のカメラ座標系から内部パラメータ、外部パラメータを用いた数理処理をすることにより情報を融合することができた。マルチモダリティ間での座表構成評価用ファントムの開発についてはCTとMRそれぞれが座標中心を同定できるファントムの試作はできたものの、粒子線治療装置やMRリニアックによって実際に計測するところまではできていない。2023年度末には、2024年度の研究実施に向けてこれらの課題について洗い出しを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は2022年度に完遂できなかった体表監視信号と熱信号との融合、マルチモダリティ間での座標校正評価用ファントムの開発、複数カメラによるオブジェクトの検出について研究、開発を行った。 これらのうち、体表監視信号と熱信号との融合については、それぞれの検出装置の解像度および画像の情報量、時間軸のずれなどがあり想定通りには進んでいない。一方、マルチモダリティ間での座標校正用ファントムの開発については、MRにもCTにも対応できるように、アクリルを基盤として液体(ベビーオイル)を挿入したものを作成した。このファントムの中心にタングステン球を挿入してWinston-Lutzテストをすることによりアイソセンタ指示点の中心一致精度を評価できるものとした。しかしながら、実験施設と都合が合わなかったため、このファントムを用いて実際に粒子線治療装置やMRリニアックで計測を実施することができていない。複数台カメラによるオブジェクトの検出については、2台のカメラ座標系から内部パラメータ、外部パラメータを用いた数理処理をすることにより情報を融合することができた。一方で、点群データの辺縁領域においては2つのカメラで検出した点群が十分に合わない現象も確認された。この現象の原因を追究するために、カメラの画角、拡大率およびパースペクティブによる影響を今後調査する予定である。 以上の進捗状況を総合的に考え、やや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で記載したように、現在進めている事項は、体表監視信号と熱信号との融合、マルチモダリティ間での座標校正評価用ファントムの開発、複数カメラによるオブジェクトの検出について研究、開発である。体表監視信号と熱信号との融合については、検出装置のスペック、空間分解能、時間分解能が異なるという現象を解決しなければならない。現在のところ、演算処理によりその問題を解決する予定であるが、この演算をコンピュータに課すことにより、表面位置情報をポイントクラウドに変換してIterative closest points法による剛体レジストレーションをする処理が遅延する可能性がある。そのために、剛体レジストレーション演算の高速化も同時に進める。マルチモダリティ間での座標校正評価用ファントムの開発は、実際に粒子線治療装置もしくはMRリニアックを利用しての評価を実施する予定である。複数カメラによるオブジェクトの検出に関しては、2つのポイントクラウド照合における辺縁部の一致性向上を図る必要がある。カメラの画角、拡大率およびパースペクティブによる影響を今後調査する予定である。 2024年度には、これらの研究成果をまとめ、論文として投稿することを目標にする。
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