研究課題/領域番号 |
22K12854
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
下戸 健 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (40412457)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 再生医学 / 医用ロボット / スフェロイド融合 / 細胞構造体 / スフェロイド |
研究開始時の研究の概要 |
本研究グループでは,これまでに任意の細胞数でスフェロイドを培養したり,複数の細胞を用いる場合に細胞比率をコントロールしてスフェロイド培養したりできる,再生医療に資するスフェロイド形成自動化システムの開発を行ってきた.一方で,スフェロイド同士が融合する特性は解明されていない.そこで本研究では,血管や心臓の再生医療用3次元細胞構造体を作製するために必要となる細胞凝集塊(スフェロイド)について,これまで開発してきたスフェロイド形成システムを応用して,スフェロイドの融合特性を解明し,細胞構造体の高度化および多様化に繋げる.
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研究実績の概要 |
血管や心臓の再生医療用3次元細胞構造体を作製するために必要となる細胞凝集塊(スフェロイド)について,これまで開発してきたスフェロイド形成システムを応用して,スフェロイドの融合特性を解明することが本研究の目的である.これに関し,スフェロイドの融合特性を解明することを実現するために,研究計画に従い以下の2項目について遂行した. まず,開発したスフェロイド形成システムを用いた,スフェロイド同士の融合方法について確立した.手技での融合実験はできていることを確認しており,時間経過に伴う融合の変化も観察することができている.開発したスフェロイド形成システムでも融合実験が行えるように,専用の冶具の設計および製作を行った.それに合わせたモーションについてもプログラミングを行った.特に,スフェロイドに物理的刺激を与えないように操作したり,確実に回収するように手技で行うピペッティング技術を再現したりした.ソフトウェアについても,GUIを駆使し直感的に操作できるようにした. 次に,開発したスフェロイド形成システムを用いて予備実験を行った.手技と同様の方法で作製でき,スフェロイドの融合も問題がないことを確認した.一方で,予備実験の際に定量評価について検討した.タイムラプス観察により,時間経過に伴うスフェロイド同士の融合の変化を観察することができている.したがって,文献を参考に融合度について定義し,融合の変化を定量化できるようにした.スフェロイドは特定のスフェロイドプレートで作製され,融合実験もそのプレート内のウェルを使って行っている.各ウェルの容量とスフェロイド(細胞)に対する培養液を考慮すると,スフェロイドの最大数は4個と考えられる.可能な限りスフェロイドの数を増やし,スフェロイドの個数の影響も考察していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は細胞を用いた実験のために必要な作業とスフェロイド同士を融合させる方法の確立,および手技でのスフェロイド同士の融合実験が目標である.クロスコンタミネーションを起こさずに細胞培養ができており,手技での実験も行うことができている.スフェロイド形成システムを用いた融合実験の自動化については,最新のスカラロボットに合わせた改良は完了している.スフェロイドに物理的刺激を極力与えない方法や,スフェロイドの回収方法等のモーションについては検討を終えることができており,予備実験も行えている.定量評価についても,文献を参考にして独自の融合度の指標を定義できており,研究の進捗状況は順調である.2024年度では,スフェロイド同士の融合実験および解析をすすめ,得られた知見を積極的に発信していく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
hMSC-ATを対象としたスフェロイド同士の融合実験に関し,実験プロトコルは確立できた.一方で,スフェロイド形成システムを用いる場合のモーションについても,スフェロイドに対する物理刺激を最小限にするとか,回収率を100%にするといったモーションを検討することができた.これらの知見を応用し,スフェロイドが1個から3個の場合の融合実験を行い,時間経過に伴う変化などを観察する.スフェロイド同士の融合は,スフェロイドを作製する際のプレート上で行っている.1つのウェルの容量を考慮すると,最大4個までできると考えられ,4個のスフェロイド融合についても検討する.定量評価としては,文献等を参考にし,独自の融合度を定義することができた.融合実験および解析を行い,得られた結果をまとめ,成果を公表していく.
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