研究課題/領域番号 |
22K12855
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
宮城 光信 仙台高等専門学校, その他, 名誉教授 (90006263)
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研究分担者 |
岩井 克全 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (10361130)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 中空ファイバ / 赤外レーザ光 / 先端機能デバイス / レーザ治療 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、根管を整形するために、金属製のリーマーが用いられているが、多くの課題を有している。レーザーリーマーによる根管治療の提案は申請者らによるものである。細い根管の中にレーザ光(Er:YAGレーザ光)を効率的に入射させるためには、外径が200μm以下の細径ファイバが必要であるが、その製作は困難であり、多くの技術課題を解決していかなければならない状況にあった。 本研究では、超細径な中空ファイバを大量に、しかも特性的に安定に製作する技術を開発しようとするもので、国内外では全く行われてはおらず、世界で最初の試みである。
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研究実績の概要 |
歯科根管治療において、根管を整形するために金属製のリーマーが用いられているが、このリーマーの破損、あるいは菌血症の難点を克服するために、Er:YAGレーザ光を用いる根管治療用「レーザーリーマー」を提案してきている。しかし、これまでの研究では、根管まで導光する超細径ファイバの製作に難点があり、実用化への見通しはほど遠かった。 本研究では、実用化レベルのレーザーリーマーとして、内径100 μm、外径170 μm、長さ30 mmで、歯科治療用レーザ光を40 %以上の導光効率で伝送可能とした新しいタイプのレーザーリーマーを開発する。社会的意義は、患者へ安全で負担の少ない根管治療を提供できことと、大量に安定して生産する製作法の開発により、経済性にもメリットがあることである。 本研究の目的は、レーザーリーマーとして、200 μm径程度の根管に挿入可能で、Er:YAGレーザ光の照射機能をもつ内径100 μm、外径170 μmの超細径ヨウ化銀膜内装銀中空ファイバ(長さ30 mm)の実用化レベルの製作法を開発することにある。 令和5年度は、令和4年度の研究成果を基に、超細径銀中空ファイバの高効率製作法の改善を図った。銀鏡反応を行い,内径100μm銀中空ファイバを製作した。内径100μm銀中空ファイバ(長さ19 mm)の損失波長特性(FWHM10.6°のガウスビームで励振)を測定した。波長1μmにおいて最も低損失なファイバは約6.5 dBと低損失であった。また、光学膜としてヨウ化銀膜を選択し、超細径ヨウ化銀膜内装銀中空ファイバの製作を図った。ヨウ素液を超細径銀中空ファイバに送液し、AgI膜を成膜した。Er:YAGレーザ光伝送に有効なAgI膜厚を成膜することに成功した。令和6年度において、超細径ヨウ化銀膜内装銀中空ファイバの可視パイロット光とEr:YAGレーザ光の伝送特性の評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は、令和4年度の超細径銀中空ファイバの高効率製作法を基にして、製作法の改善を図った。 従来法では、内径100μm、長さ50 cmのガラスキャピラリ280本を束にしたとき、流量約7.8 ml/minであり、280本束を2セット並列接続することで、流量約15 ml/minを達成した。しかしながら、製作にコストと多くの時間を要した。内径100μmガラスキャピラリ(長さ22 cm)の両端に内径320μmガラスキャピラリ(長さ5 cm)を接着し、太径化することで端面を揃え易くしてから、32本(全長30 cm)を束にした。この1束の流量は約1.9 ml/minであり、2束並列にしても約3.8 ml/minである。内径250 μmガラスキャピラリの流量を測定し、長さ30 cmのとき、約1.7 ml/minとなることが分かった。内径100μmガラスキャピラリ(32本,全長30 cm)と内径250μmガラスキャピラリ(長さ30 cm)9本を並列接続した仕掛けを2セット並列接続することで,流量約39 ml/minを達成した。銀鏡反応を行い,内径100μm銀中空ファイバを製作した。内径100μm銀中空ファイバ(長さ19 mm)の損失波長特性(FWHM10.6°のガウスビームで励振)を測定した。伝送特性のばらつきは大きかった。接着位置を揃えることが困難であり、各ファイバ全長が数mmずれることで、溶液の流れ易さが異なったためと思われる。波長1μmにおいて最も低損失なファイバは約6.5 dBであり、低損失なファイバを製作できることが分かった。次に、光学膜としてAgI (ヨウ化銀)膜を選択した。濃度1 wt%のヨウ素液を超細径銀中空ファイバに送液し、反応時間25 秒でAgI膜を成膜した。Er:YAGレーザ光伝送に有効な約0.16 μmのAgI膜厚を成膜することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度において、令和5年度の成果を基に、超細径光学膜内装銀中空ファイバの製作法の改善を図る。製作した超細径ヨウ化銀膜内装銀中空ファイバの可視パイロット光とEr:YAGレーザ光の伝送特性の評価を行う。
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