研究課題/領域番号 |
22K12864
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90130:医用システム関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
長井 篤 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (40273940)
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研究分担者 |
堺 弘道 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (00375255)
SK.A bdullahMD 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (30403447)
和田 孝一郎 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (90263467)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 認知症予知 / AI / 認知症予防 / MRI / リピドミクス / 口腔内細菌 / 脳卒中 / 認知症リスク検査 |
研究開始時の研究の概要 |
数千例の検診データより認知症へコンバートすることが予想される研究対象者を抽出してリクルートし、問診・一般健診・認知機能検査・動脈硬化因子・生理機能検査・MRI画像に加えて、新たにプロテオミクス・リピドミクス解析、口腔内・腸内フローラ解析データをAIへ投入し、一方で、活動量計付きのウェアラブルデバイスを装着してもらい生活習慣や運動量などを解析することで、認知症の進行へ関与するプロファイルを同定する。生活習慣、食生活に介入を行い、バイオマーカーの変化、脳萎縮の変化、認知症の改善度を評価することで、新たな認知症予防の指針を構築する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的として、脳ドック健診システムのデータベースを活用して、認知症の予知・予防を行えるかどうか検証する。当教室でartificial intelligence (AI)による深層分析で脳萎縮をMRIで分析し、3年後の認知症に移行する確率を予測するシステムを開発した (Nakagawa et al. Brain Commun 2020)。本研究では、このシステムと脳ドックデータを活用して脳血管障害発症と認知症に寄与する因子を明らかにし、予知予防に貢献する。脳ドックデータに、プロテオミクス・リピドミクス解析、口腔内・腸内フローラ解析データを組み合わせて、新規の発症予測バイオマーカーを開発する。 今年度、AIを用いた認知症進行予知がどの程度の精度で実際の脳ドック受検者で行えるか検討した。認知症低リスク群と高リスク群で追跡調査をし、高リスク群では岡部式簡易知的評価尺度及びKohs検査は10%有意に低下することを確認した。 口腔内細菌叢が脳卒中危険因子と関係があるかどうかを検討した。脳ドック受検者の唾液採取を行い、次世代シークエンサーで16S-RNA gene解析により口腔内細菌叢を分析し、脳動脈硬化因子、頭部MRIの虚血性変化との関連性について解析したところ、一定の細菌叢が頭部MRIの動脈硬化リスクと有意に関連していることが確認された。今後論文化の予定である。 さらに、本プロジェクトでは、血中リン脂質と認知機能、脳萎縮との関連性についても検証する予定である。脳は脂質に富む組織であり、認知症と脳内脂質の変化の関連性が推測されるため、結果が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症による受検者確保の困難より、データ数の蓄積が少しずつ計画より遅れていることが、区分のやや遅れているという結果となった。 その中で、唾液分析と口腔内細菌叢の関連性については一定の結果が得られ、論文が作成できた。現在投稿中である。 脳ドック受検者にウェアラブルデバイスを装着して、認知症との関連性を検討しているところであるが、これについても、受験者の確保の困難さから、まだ解析ができない状況であり、今年も継続して解析数の確保を行なっていく必要がある。 液体クロマトグラフィータンデムマススペクトロメトリー法(LC-MS/MS)による多種類リン脂質の一斉分析技術を開発した(Azad et al. J Mass Spectrom Adv Clin Lab 2021)が、現在脳ドック受検者の検体を蓄積しており、今後一斉に解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
口腔内細菌叢と脳卒中の関連性を検討した研究を論文化する予定である。さらに今後、口腔内細菌叢が脳萎縮や認知症と関連性がないか、さらに検体を集積して検討を行う予定である。 脳ドック受検者から採取し保存した血液サンプルでlysophosphatidylcholine (LPC)、lysophosphatidylethanolamine (LPE)を測定し、脳萎縮や3年後の認知症コンバート率との関連性を検討する。 認知症の治療薬は未だ確立されていないが、運動や生活習慣への介入によりMCI期、早期AD期においても認知機能低下を予防する一定の効果が認められている。本研究は4年計画であるが、今年度も引き続き脳ドック受検者で概ね3年後に再度受検された方またはそのような方にドック受検を勧誘し、ウェアラブルデバイスを装着頂く。集積されたデータを人工知能(AI)によって解析し、脳萎縮と生活習慣の関連性を分析する予定である。現在は脳ドック受検者よりデータを集積中であり、研究最終年度に最終的な解析を行う。申請者らが開発した3年後の認知症に移行する確率を予測する認知症リスク検査について、妥当性を検証し、予知・予防のシナリオを作成する。
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