研究課題/領域番号 |
22K12888
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90140:医療技術評価学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山田 耕嗣 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80528042)
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研究分担者 |
家入 里志 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (00363359)
松久保 眞 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (00528036)
大西 峻 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (10614638)
山田 和歌 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (20457659)
矢野 圭輔 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (30757919)
村上 雅一 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (40825361)
加治 建 久留米大学, 医学部, 教授 (50315420)
杉田 光士郎 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (50781514)
武藤 充 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (70404522)
春松 敏夫 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (70614642)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 腹腔鏡 / 内視鏡外科 / トレーニング / シミュレータ / 小児外科 / 内視鏡外科手術 / モニターサイズ / 高精細内視鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
内視鏡外科手術では、高精細内視鏡が実用化され臨床現場に普及しつつあるが、内視鏡の高精細化及びモニターサイズの大型化が与える手術操作への影響を検証した研究はない。以上より技術進歩が外科医の手技に波及する効果、特に映像の高精細化及びモニターの大型化が外科医の内視鏡外科手術の鉗子操作へどのような影響を与えるのかというのが、本研究の核心をなす学術的「問い」である。
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研究実績の概要 |
今年度は年度別計画に基づき、昨年度に引き続いて内視鏡外科手術シミュレータを用いた模擬手術によるデータ収集・トレーニング効果の検証を行った。 モニターサイズの大小に加えて、使用する鉗子のバリエーションを増やし、多関節鉗子を使用したトレーニング効果の検証を追加して実施した。被験者を従来に内視鏡手術に習熟したグループと、内視鏡手術の経験が浅い被験者の2グループに設定し、前者を小児外科医に、後者を医学部生としてデータ収集を行った。データ解析の結果は、昨年度及び我々が過去に行った知見と一致して、モニターサイズの大小がタスク成績に影響しないことが確認された。また多関節鉗子を用いた場合タスク完了までの時間は従来の鉗子に比較して優位に延長したものの、縫合の質に関しては有意に改善することを見出した。 またかねてより使用している胆道拡張症手術シミュレータを、被験者のフィードバックを参考に改良するとともに、新たに疾患特異的シミュレーターの開発に着手し、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術の小児モデルを作成した。現在同シミュレータを用いたタスクの設定作業を行っており、パイロットデータの収集作業に着手しているところである。 上記研究結果を第123回日本外科学会定期学術集会、第60回日本小児外科学会学術集会、第32回コンピューター外科学会大会、第36回日本内視鏡外科学会総会などの国内学会、及びThe 32nd Annual Congress of International Pediatric Endsurgery Group (IPEG)、The 57th Annual Meeting of The Pacific Association of Pediatric Surgeons (PAPS)などの国際学会で発表した。また欧文誌、和文誌に論文投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究2年目として、前年度前倒しに実施したデータ収集作業を一旦完了させるとともに、新しい研究デザインを設定し実施した。前年度の結果からは、モニターサイズ間では有意差無しという結果が得られた。この結果は当初の予想とは異なっていたため、結論とするには根拠に乏しいと判断するため、タスクの設定等別の交差要因が存在する可能性を考慮し、鉗子の別、術者の習熟度別にデータを細分化して実施することとした。従来の鉗子に加えて、より術者に空間的認識を要求する条件を加味するために多関節鉗子を使用することとした。また熟練した外科医にはモニターサイズの影響は少ない可能性があることを考慮し、被験者に内視鏡手術未経験者の集団を加えて再度実施することとした。結果は前年度と同様に有意差なしという結果が得られることとなった。この様な結果は当初想定していた結果とは異なるものであるが、昨年度の結果を踏まえたうえで再実施した結果であるので、真理であると理解することも出来る。しかしながら最終結論とするにはいまだ根拠に乏しい印象がある。批判的解釈の余地を排除するため、使用モデルを変更するなどの改良を加え再実施することとしたい。したがって本研究は当初の計画より前倒しで進行しているものの、得られた知見からは最終結論に達しないと判断したため、新たに研究計画を策定する必要が生じた。よって繰り上げ実施したことによる早期終了には至らず、当初の進捗予想と同様の進行程度と判断できるためおおむね順調と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
前段で述べたとおり、本研究は当初の計画より前倒しで開始することとしたものの、得られた知見からは最終結論に達することは困難と判断した。新たな知見を探索するために、今年度の成果を基に新たな研究計画の策定を行うこととした。 今年度実施したタスクには新たに習熟度を考慮した設計としたが、得られたラーニングカーブは検討するには不十分と思われるものであった。その理由は、トレーニングを十分な試行回数実施することでラーニングカーブが得られるはずであるが、時間的成約のため試行回数が不十分となり、トレーニング開始初期の急峻なラーニングカーブのみが得られる結果となってしまった。この点を改良するに当たり、時間的成約は致し方ないため、タスクをより単純化して一回施行に要する時間を短縮し、単位時間あたりの試行回数を増やすことで、この問題は緩和されると判断する。また効率化を目的にディスプレイサイズとカメラの位置を固定化したセットを数台設置し、被験者にモデルを移動しながらタスクを実施する方法を選択したが、この方法だとモデル間の差異が生じるため何らかの影響が生じる可能性がある。当初この差異は問題ないほど小さいと判断していたが、被験者の心情に与える影響は小さくないことがアンケート結果から明らかとなった。そのため次回からは臓器モデルは同一のものを使用し、ディスプレイサイズとカメラ位置を効率的に変更出来るシステもを新たに設定する必要があると考えられる。以上から、短時間タスクの設定と実験セットの再構築を行ったうえで再実施することとする。
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