研究課題/領域番号 |
22K12919
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高橋 応明 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (70267342)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 褥瘡 / マイクロ波 / 非接触検知 / 人体ファントム / FDTD法 / ウェーブレット変換 / 褥瘡検知 / 電磁波 / アンテナ / 非接触 / 在宅介護 |
研究開始時の研究の概要 |
介護で問題となる一つに褥瘡がある。今後,在宅介護が増加していくと,褥瘡問題はさらに深刻になると考えられる。本研究課題は,これまでにないマイクロ波を用いた非接触での褥瘡検知システムの開発を目的としたものである。本研究課題では,褥瘡の検知精度の向上,検知範囲の拡大など褥瘡検知システムのアルゴリズムの開発を行う。さらに,実用を考えてMRIを基にした人体腰部数値モデルを構築し,褥瘡の検知を数値シミュレーションで検証するとともに組織構造を模擬した人体腰部ファントムを開発し,実験により褥瘡検知システムの検証を行い,臨床に向けて有効性と安全性などを確認することを計画している。
|
研究実績の概要 |
ウェーブレット変換を用いて非接触の褥瘡を検知するアルゴリズムの改良を行なった. 1つ目は,検知アンテナと人体の距離を10cmと固定して,褥瘡ステージ・サイズを特定していたものを,マットレスの厚さや人体による沈み込みなど距離が変化する場合にも対応すべく,距離推定を行い,距離に応じた判断閾値を設定するアルゴリズムを加えた.これにより,適用範囲が拡大した. 2つ目は,検知アンテナから褥瘡が横にずれた場合の検知範囲の特定と,さらにアレー化することにより検知範囲の拡大の検討を行なった.検知範囲の拡大ができること,ステージの特定などが可能であることは検証できたが,先の距離推定のアルゴリズムと連動していないので,さらに改良が必要である. 3つ目は,従来は人体の皮膚モデルを層構造として取り扱っていたが,NICTの高精細数値人体モデルを用いた場合でも,褥瘡検知アルゴリズムが問題なく動作し,褥瘡ステージなどが検出できることがわかった. 実験的な検討として,従来は合成筋肉と豚の皮膚や脂肪を用いたハイブリッドファントムを用いて実験的検証を行なってきた.しかしながら,豚の皮膚は人体よりも厚く毛深いなど取り扱いが困難だっただけではなく,電気定数が一定ではないため,実験的な検証には不向きであった.そこで,皮膚や脂肪も人工的に作製した人体ファントムを開発した.その結果,解析と非常によく一致した検知結果を得ることが可能となった. 従来の褥瘡検知システムは10.5GHzを用いて開発を行なってきた.しかしながら実用化などを考慮した場合,装置が高くなるなどの懸念があるため,新たに5GやWifi6などで使用されている周波数に近い5.8GHzでの褥瘡検知の検討を始め,ある程度の精度で褥瘡が検知できることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
検知アルゴリズムの改良や検知アンテナとアレー化など,当初の予定通りに取り組めており,その結果も良好である.また,実験的検証に必要な人体ファントムの開発もできたため,実験による検証も簡単にできるようになった. さらに,当初の予定になかった5.8GHzという別の周波数でのシステム検討も開始した. 以上,当初の予定よりも順調に計画は推進できている.
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き,褥瘡検知アルゴリズムの改良を行う,特に検出範囲の拡大について,距離補正のアルゴリズムの組み込むなどして,検知精度の向上を図る.また,検知アンテナのアレー間隔などを決定して,検知アレーアンテナの設計,試作を行なって検証していく.さらに,実際の人体構造を模した実験用ファントムの作製に取り組む.腰部は非常に大きく重くなるため,実験全体の構成を考えて,可能な範囲で実験できるものを3Dプリンタなどを用いながら作製していく予定である. また,5.8GHzのオンベッドシステムの構築を行う.従来はネットワークアナライザとPCという構成でシステム全体が大きいためと,取り扱いの専門家が必要であった.今後,オンベッドでも実証実験も可能とするコンパクトなシステムを構築して,看護師などが検証できるシステムとする予定である.
|