研究課題/領域番号 |
22K12920
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
牧野 浩二 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60560159)
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研究分担者 |
藤田 浩二 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, ジョイントリサーチ講座講師 (80451970)
小山 賢介 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80456491)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 指の力 / 指握力計 / バランス計 / 暗黙知 / 指握力 / 診断補助システム |
研究開始時の研究の概要 |
手の病気の診断では動きだけでなく指の力の入り具合が重要であるが、医師が必要とする力の入り具合を測るための機器はないため、適当な物を持ち上げたときの動作を医師が見て、暗黙知を利用して各指の力の入り具合を推測している。本研究では、既存の握力計を改造して各指の最大の力を計測する「指握力計」とペットボトルを持ち上げるときに発生する最小力を計測ための「バランス計」を開発し、そのデータ解析を基に、医師の診断と併せることで各指部位の圧力分布を用いた疾病診断補助システムを作成する。
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研究実績の概要 |
本研究では各指の力と手指に関する疾病との関連性が予測できるといった手の外の専門医の暗黙知を基にして診断補助システムの開発と、専門医が持つ暗黙知の解明と形式知化を目指す。各指の力を計測する機器として、既存の握力計を改造して「各指の最大の力を計測できる指握力計」とコップなどを用いるときに発生するといわれている「各指の最小の力を計測できるバランス計」の開発を行い、その計測データを基にして解析を行うことで目的を遂行する。 まず指握力計の開発について述べる。握力計は日本ではスメドレー式が主流であり、これは各指が干渉しにくいようなグリップ形状となっている。一方で世界の多くの国ではジャマー式が主流であり、握ったときに各指が中央に集まって互いに接するような形状をしている。そのため、ジャマー式握力計を改造するときには各指の干渉が問題となることが懸念された。そこでまず、ジャマー式握力計のグリップ部を簡易的な鋳造で転写し、それに指の力を計測するための小型センサを取り付け、干渉の有無を検証した。その結果、干渉は無視できるほど小さいことが明らかとなった。 次に、バランス系の開発について述べる。これは最小の力を計測するため、把持姿勢によって指の力が変化することが明らかとなった。このことから傾きと指の力の関連性を調べ、バランス系の精度を向上させた。 これらの機器を用いて手指に疾病のある患者の計測を予定していたが、コロナの影響でまとまった計測ができなかった。そこで、研究の順序を入れ替え、計測から結果の表示までを自動的に行うためのシステム設計を行い、数クリックで実現できるシステムを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
指の最大の力を計測するための指握力計と、コップなどを持ち上げるときに発生する最小の力を計測するためのバランス計の基礎的な開発とその動作試験を行った。これは令和4年度の計画通りの進捗状況となる。一方で、手指に疾病のある患者を対象とした計測は、病院などの施設との調整により、まとまったデータを取ることは難しい状況であったため、本年度は見送った点は計画から遅れている点である。また、計測から結果までをシームレスにつないだアプリ化を行った点は計画より進んだ状況である。以上より、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
指握力計とバランス計に採用している計測センサの精度のばらつきが大きく、かつ経年変化もあることが明らかになった。これは事前のキャリブレーションにより、修正は可能であるが、作成した機器それぞれに行う必要があるため、病院などの計測を協力いただく施設へ複数の計測器を貸し出すときには都合が悪い。そこで、令和5年度ではセンサの変更を行い、ばらつきや経年変化を抑える改良を行う。また、令和5年度からは病院で実際の患者を対象とした計測が可能になる見込みがある。患者を対象とした計測を行い、暗黙知の解明を目指す。
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