研究課題/領域番号 |
22K12946
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
高橋 大志 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 准教授 (20549943)
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研究分担者 |
高橋 真悟 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 助教 (20804397)
児玉 直樹 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (50383146)
松尾 仁司 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (70417012)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | ヒートショック / 熱刺激 / 開発 / 血管透過 / ペルチェ素子 / 近赤外 / 赤外線カメラ / 生体機能評価 / 血管径 / 赤外線 / 透過画像 / 入浴時ヒートショック |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ヒートショック(HS)の危険性を定量的に評価する目的で、末梢血管機能評価システム(末梢血管透過撮影装置と冷温熱刺激装置、評価用ソフトウェア)の開発を行う。熱刺激装置はペルチェ素子と温調機能付きプログラマブル電源を用いて作製する。また透過撮影装置は、近赤外LEDと近赤外カメラを用いて構築する。この2つの装置を生体計測実験に供して冷温熱負荷を与えた際の末梢血管画像を取得する。取得画像中の血管径等を新規開発したソフトウェアで計測することで、熱負荷に対する血管機能を評価する。実験では動脈硬化状態も計測し、これらの実験結果から冷温熱刺激に対する血管機能と動脈硬化状態の関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和4(2022)年度では、入浴時ヒートショック(HS)の体質的な危険性を評価できるシステムを新たに開発する事を目的に、冷温熱刺激装置と末梢血管透過撮影装置、及び末梢血管径の自動計測ソフトウェアの開発を行った。冷温熱刺激装置は、入浴時における寒暖差を模擬できるように、冷却と加温がシームレスに実行できる装置として設計した。実際には、電力の供給量で精密な温度制御が可能であり、かつ電力の供給方向によって吸熱と加温が可能なペルチェ素子を用いた。また、冷却や加温の温度速度(毎分の温度変化)を可変にするため、ペルチェ素子への電力供給量を任意に設定可能なプログラムも開発した。他方、末梢血管透過撮影装置と血管径計測ソフトウェアの開発では、手指末梢血管を近赤外線で透過撮影できる装置をLED光源とカメラで作製し、その装置で撮影した冷温熱刺激時の末梢血管の透過画像内にある血管径の変動を自動的に計測できるプログラムを開発した。冷温熱刺激装置の性能評価では、熱刺激プレートを大気暴露させた無負荷条件と熱刺激プレートに手掌を静置した負荷条件で実験を行った。評価の結果、無負荷条件、負荷条件ともに40℃までの加温と、10℃までの冷却が可能であった。また、冷却と加温をシームレスに繰り返す温度サイクルも実行できることを確認した。末梢血管透過撮影装置の評価では、末梢血管を黒く描画する事が可能であった。また、血管径自動計測ソフトウェアの開発では、グレースケール画像を2値化のみで自動計測を試みたが、コントラストやノイズ等の影響により自動計測ができなった。したがって膨張収縮処理を追加し再計測させたところ経時的な血管径の変動が計測でき、その結果は肉眼で計測した結果と同様であった。このことから自動計測ソフトウェアは手動計測と同等の性能を有することが確認された。なお、HS発症アンケートに関わる研究倫理申請書は作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度計画では、ヒートショック(HS)の体質的な危険性を評価するためのシステム構築を行うこととしていた。HS危険性評価システムは、ペルチェ素子を用いた冷温熱刺激装置、近赤外線と暗視カメラを用いた血管透過撮影装置、血管径自動計測ソフトウェアの開発が必要であった。これら装置開発については、研究実施概要に記載した通り、問題なく作製できており、またそれらの性能評価も実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度開発した冷温熱刺激装置と血管透過撮影装置は、性能評価実験で問題がない事を確認しているが、実際に生体計測実験に供した際にも適正な性能を発揮できるかをまずは検証する。もし、各装置において改善や改良が必要な場合には、その原因に対する対策を検討し装置を再作製する。他方、血管径自動計測ソフトウェアにおいては、室内の明るさや各個人の血管の太さ等の要因で自動計測できない事例も存在する事が予測されるため、光源の光量可変回路の追加やカメラ交換も含めた検討を行う事で撮影条件出しを行う。一方、ヒートショックの発症に関するアンケート調査を実施し、各個人の発症状況と冷温熱刺激に対する血管運動性の比較を行う事で、ヒートショック発症と血管運動性の関連性を評価する。そのために、まずはアンケート調査の研究倫理申請を行い承認を得ることとする。また、これまでは健常若年成人を対象に実験を行ってきたが、次年度以降では高齢者までを対象として生体計測実験とアンケート調査を実施するため、現在、群馬県や高崎市と協議を行っている。したがって、各施設での許可が得られ次第、高齢者での生体計測実験を実施し、次々年度での本格的なHS発症と血管運動性の関連性調査に向けたプレ実験を実施する予定である。 以上、今後の研究の推進方法は、実際の生体計測実験における各装置の性能検証、血管径自動計測ソフトウェアの撮影条件出し、次々年度を見据えた高齢者までを対象としたアンケート調査と血管運動性に関する生体計測実験(プレ実験)を行う予定である。
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